それはそれは、辺り一面色とりどりの花の畑で

耳に気持ちの良いお前の悲痛の喘ぎが聞こえる。



「お前は俺で…俺なんかで何がしたいんだ…!」


今頃心の臓が液状になったような気分でもするんだろう、ガタガタと腕が震え、痛みの原点を探すように己の腹を荒々しい手つきで引っ掻き始める。


「お前の勝ちだ、嬉しいだろ、俺等を極端までに追い詰めて、勝って」


歯がカチカチと鳴り、声は溺れてるかの如くボコボコとしている。



「三成も、刑部も、皆…皆消して」


儂は続けろとでも言わんばかりにうんうんと頷く



「俺に、優しくなんかしやがって、」


鼻水や涙、涎でずぶ濡れになった彼の顔は傑作だ。自分の胃の奥で何かがふつふつとこみ上げる気に耐えられる自信がなくなってきた。


自分の刀に手をかけて鞘からその妖艶な銀色を引き抜く。

刃先が可愛らしくぶれる。


それを儂の喉仏に突き当て、ぶれてるあまりにちくりと皮膚を裂かれる感覚に酔いそうになる。


「お前は世界一憎くて嫌いな奴だ。死ねばいいのに。輪切りにされて、地へ還れば」


しゃくりの効いた息継ぎで、恐怖に満ちた瞳で、儂を見続ける。

刃先はまだぶれていて、それなりに痛い。

すぅ、と深呼吸して刀をほんの少し浮かせた

息を吐いたと同時にそれを儂の喉に沈ませる気なんだろう。



何度も見た仕草に体中愛しい電撃が走って口角が吊りあがってしまう。






「名前は、儂を殺して独りで死ねるか?」





下品な茶番

(満面の笑みと腕の中の独りぼっち)


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駄目だ家康で明るいの描ける気がしない。


20120108


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