午後10時。 ふれあい場も終了し、俺も水槽の中 隣には自称「海のギャング」 この水族館の中では彼が一番俺にとって近い人 「浮かない顔してどうした」 下から鈍く光る青いライトがどことなく海に戻った気分にさせる。水族館なだけに。 『なぁ、手を繋ぐと何かいいことあんのか?』 「人間観察でもしてるのか?」 『あんなにたくさんペアで来たら嫌でも気がつくっての。』 ほらちょっと手貸せよ手招きをする 彼は少々戸惑いつつも手を差し出す それを正面から握ってみる 「どうだ」 『これじゃただの握手だな』 握り方を変え、よく小さい人間と大きい人間が手を繋ぐように彼の人差し指から小指の指4本を自分の手で覆ってみる 『微妙だな』 「でら訳が解らん」 そういって飽きたかのようにこっちの手を振り解く 『あっ、握り方もう一つあった』 苦虫食ったかのような顔をしつつも手を差し伸べてくれる彼 彼と向き合った状態でその手に自分の手を重ね、彼の指と指の間の隙間を自分の指で埋める 「………」 『うーん』 なんだかな、と違うと言うわけでもなく気難しい顔をする 『やっぱわかんね』 もうやめたとでも言うように手を離す。 けど、俺の前のギャングさんはそれを許さず、 「…人間の気持になってみるのも営業に役立つ。もっと頭を使って何か感づけ」 といい、俺はそんなギャングのかしらさんと手をずっと繋いだりしてました。 (少しでもお前と触れ合える口実にしただけだけど) ――――――――――――― よくわからない二人がいろんな手の繋ぎ方をしてると可愛いなぁとか prevnext |