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コンコン

「どうぞー。」

ガラガラ

「失礼しまーす。」

久しぶりに来た数学資料室。中が微妙に見えないので先生がいるのかもわからないけどとりあえずノックしてみると良い返事が返ってきた。

「今日はどういったご用件で。」

久しぶりの澤村先生の呼び出し。本当に何もしてないし何もされてないからなんで呼び出されたのか全然わからない。
親衛隊に絡まれるかもと心配して気をつけていたのも本当に初めだけ、あと智樹の部屋に行ったときくらい。今までの心配はなんだったのかと思うくらい何もないから最近は普通に過ごしてる。

「あーまあ、最近どうかと思って。」
「最近…何もない、普通に過ごしてる。」
「そうか。…まあ座れよ、コーヒー飲めたよな?」
「あ、待って待って!」

呼び出されたときにたまたま前回のことを思い出してわざわざ寮に戻って持ってきたものがあるんだ。

「これ!持ってきた!」
「……紅茶か?お前前に言ってたの覚えてたのか。」
「たまたま思い出した。先生こそ覚えてたんだ。」
「たまたまな。」

とりあえずお湯を沸かすためにケトルの電源をぱちっとする。

「言っておくけど、ティーポットとかはないからな。」
「むしろ先生が自分の部屋にしちゃってるからって資料室にティーポットがあったらびっくりする。マグカップにいれるから大丈夫。」

本当はカップをあっためたり蒸らしたりいろいろあるらしいけど、そこまで本格的にいれたいわけじゃないしなあ、やっぱりちょっと面倒だし。今度気が向いたらやってみようかな…。でもティーバッグはあんまり揺らさないように、これは簡単だから気をつけるようにしてる。

「で、最近どうだ?あ、新歓はどうだったんだよ、下見は活かせたか?」
「うん、まあまあ。楽しかったよ。」
「本当か?その割にはお前見かけなかったけどなあ…。」
「…あは、でも楽しかったよ。燈夜といれるのは今年だけだったみたいだし、幼馴染とも久しぶりに会えたし。」

新歓で風紀委員会は一応追いかける側に分けられてるものの実際は見回りとかをしながらの参加らしくて、基本的に追いかけたりはしないらしい。これは智樹とご飯食べてるときに教えてもらった。見回りしたりするならあんまり一般生徒と一緒に行動したりしないだろうし、ましてや空き教室で時間を潰すとかありえないし、一緒にゆっくり参加できるのは実質今年だけらしかった。

「あーまあ本城は風紀だからなあ、来年からは今年みたいに過ごすのは難しいかもな。にしても幼馴染か、入学してすぐ会ったりしなかったのか?」
「それがまあいろいろあって、」

ぱちっ

「あ、お湯沸いた。」

ケトルでお湯が沸いたから紅茶をいれながら智樹とのことをぼちぼち話した。

まず食堂ですごい見られてたけど気づかなかった、
「ほお、それで?」

新歓で突然会いに来てやっとそこで気づいた、
「はぁ……。」

こっそりご飯を一緒に食べた、
「一緒に飯…!?…まあ、幼馴染だしな、飯くらい食うわな……。」

先生には面白そうで呆れて驚いた顔をされた。

「普通幼馴染なんだから食堂の時点で気づきそうなもんだけどな。」
「いやだって、遠目だったし、本当に俺が知ってた頃より身長も伸びてて顔立ちもこう…キリッとしてて、……これが成長期かあって感じ。」
「まあ男は中高で一気に伸びる奴多いからな。俺もそうだったし……ま、お前はまだ来てないみたいだけどな。」
「余計な一言が聞こえちゃったなあ。」





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