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変革を待ちわびる      




あれからホグワーツ城に着くと編入生のわたしはセブルスと別れ、指定された新入生の最後尾へと向かう。別れる直前にわたしが「同じ寮になれるといいね」と言うと「そうだな」って言ってくれた。やっぱり想像通りの優しい人だったんだなあ、と新入生の後に続いて歩きながら考えていた。でもまさかあの男の子がセブルス ・スネイプだとは思わなかった。わたしが一番会いたかった人。少しでも彼の学校生活がいいものに出来たら、そう思って彼のいる学年を希望したけれど、こんな初めから関われるとは思ってもみなかった。その上、悪戯仕掛け人にも会えるなんて。印象は案の定最悪だったけれど 。そんな事を考えていたら、いつの間にか組み分けはわたしの番まできていた。

「今年は珍しい転入生が来ておる。First name・Family name!前へ!」

ダンブルドア先生に名前を呼ばれ、示された椅子に座る。座った瞬間、横にいる先生に帽子を被らされた。緊張する、みんな組分け帽子に寮を発表されるまでこういう気持ちで座っていたのだろうか。ちらっと後ろを振り向くと、ダンブルドア先生と目が合い彼はわたしにウィンクを返した。笑顔でそれを返し、深呼吸して前に向き直る。

「ふむ、お主は何処の寮がいいかね?」

「スリザリンがいいです。」

「確かに、お主には野望もありそれを実現する実力もある。スリザリンにいれば成功を収めるじゃろう。だが、それじゃあつまらん。」

「え……」

「ということで、グリフィンドール!」

「はあ!?」

つまらないとはなんだ、組み分け帽子はその人に一番合う寮に入れるもんじゃないのか。なのに、つまらないからグリフィンドールに入れるとか。セブルスと同じ寮の方がこの先都合がいいのに。せめてもの反抗で、組み分け帽子をぎゅっ、と強く握りしめてから帽子をかぶせてくれた先生に渡した。「苦し……」っていう組み分け帽子の声が聞こえた気がしたけど、それを無視してグリフィンドールの席へと向かった。途中向こう側にあるスリザリンの席を見てセブルスを探したけど、姿を見つける事は出来なかった。何処か空いてる席ないかな、そう思いながらキョロキョロと周りを見渡していると誰かがわたしに手を振りその隣の席を指していた。ここに座れという事か。他になさそうだし、そこにしようかな。そう思って、その席に向かった。

「うっわ。」

「よお。」

「同じ寮だったんだね!」

その手を振っていた人物はコンパートメントでの印象最悪なシリウス・ブラックだった。そして、その隣にはジェームズ・ポッターが嬉しそうな顔で話しかけてきた。別に二人が嫌いという訳じゃない、事実大人になったシリウスくんは好きだ。だけどこの時代の二人は意地が悪く 、その上スネイプ先生が好きだったわたしは本を読んでた時から、苦手意識を持っていた。でも想像した通りのイケメンだ、寧ろ想像以上といったところか。

「そーですね。」

「そっけねえな。」

「さっきも言ったと思うんですよね、貴方みたいな人は苦手って。」

「そうだったか?全然聞いてなかった。」

「それに、この軽い感じが何より苦手。」

「俺は一途な男だぜ?」

どこが一途な男だ。まだあまり話してもいない 、ほぼ他人同然のわたしの肩に腕を回してる男が。あまりの軽さにわたしは彼に冷ややかな視線を送った。だが、彼はそんなの気にしない様子で話し始めた。二人は先程コンパートメントであった出来事を忘れたかのように、良く言えばフレンドリー悪く言えば馴れ馴れしく話し掛けてくる。ふと周りを見ると、女の子達の厳しい視線が突き刺さる。少しシリウスくんから距離を置くも、肩に回された腕によって意味を成さなかった。その間もグサグサと刺さる視線に先が思いやられた。

「俺は、シリウス・ブラック。シリウスって呼べよな。」

そんなわたしの思いはつゆ知らず、彼はニカッっていう効果音がぴったりの笑顔で自己紹介をした。今までにイケメンと呼ばれる男の子達とは無縁だったものだから、免疫がなく思わずときめいてしまう。やはり、イケメンの上人懐っこい雰囲気は女心をくすぐる。これじゃあ女の子にモテるのもうなづける。徐々に熱くなる頬と速くなる鼓動にわたしは動揺した。





変 革 を 待 ち わ び る
(ときめいたなんて信じるもんか)



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