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ブルーブルーブルー     


「First nameにキスしちまった。」


彼が僕たちにそれを告白したのは今から一週間前のこと。シリウスがFirst nameに本気だってことは、薄々感づいてはいた。どうやらリーマスも気付いていたようで、二人で上手くいくといいね、と話していたところだった。だってずっと遊びで女の子と付き合うのはどちらも幸せになれないし、寂しいから。彼はその日の朝から様子がおかしかった。今思えば、僕が大々的に広めなければもしかしたらこんな事にならなかったのかもしれない。その時はただ大スクープだ、皆んなが盛り上がれば、そんなくだらない理由で広めていた気がする。それでFirst nameが、シリウスが、どんな気持ちになるかなんてその時は考えもしなかった。実際に彼らの様子を見て、自分が何をしてしまったのか気付き、後悔の波が僕を襲う。今更後悔したって手遅れなのは承知だけれど。僕がその噂を談話室で広めていた時、リーマスは咎めるような目つきで僕を見ていた、僕の愛するリリーも。その時のシリウスは無表情だった。その日の夜だ 、シリウスがその事を言ったのは。とても悲しそうに笑っていて、僕の胸もチクリと痛んだ。


「嫌われたかもしんねぇ」


そう一言呟いて、シリウスはベッドの中へ潜り込んだ。リーマスは朝と同じような目で僕を見て、ピーターは訳が分からず、オロオロしていた。




シリウスがいつも通りに戻ったのはその次の日 だった。そのいつも通りは最近のシリウスではなくて、僕たちが彼を心配していた頃の彼だった。次々と彼女は変わり、ひどい時は一度きりの関係もあった。昔よりひどい。何がひどいって、彼の表情だ。苦しくて辛そうで、まるで自分の首を絞めているようだった。その隣にいる女の子は楽しそうに、嬉しそうに話しているけど、彼は顔は笑ってはいるけれど、とても辛そうに見えた。


「シリウス、どうしたんだい?」


原因など分かっている。でも、彼の口から聞きたかったんだ。一言助けを求めてくれれば、僕たちは何でも協力する。なんて、その原因を作った僕が言えた義理じゃないんだけど。


「どうもしねぇよ。もとに戻っただけだ。もとに、な。」

「First nameのことは諦めるのか?」

「……」

「今のキミは辛そうで見ていられないよ。」


それだけ言って僕は部屋に戻ることにした。このままいれば、いらないことまで言ってしまいそうだったからだ。




そして今日。シリウスはますます思い詰めた顔をしていた。リリーの話によると、First nameも様子がおかしいらしい。いつも上の空で、笑顔も減ったらしい。これもあの一件のせいなのか。また胸が痛んだ。そして、僕がどんなことをやらかしてしまったのかを思い知った 。また二人が前と同じ関係に戻ってくれればいいのに。僕らに何か出来ることはないかと、リーマスとリリーに相談したけれど二人の意見は同じ。


「二人の問題だから、僕(私)たちが口を挟んでもどうにもならないよ(わ)。」


だ。本当の原因は僕なのに。



ブルーブルーブルー
(あやまってすむもんじゃないよな)



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