俺だけのもの

 細い手首を片手で掴みベンチに押し付けると、すずちゃんの顔が少し歪んだ。痛いかな。そう思って少しだけ力を弱くする。すずちゃんを傷付けたいわけじゃない。ただ、すずちゃんが誰のものなのか見せ付けたいだけ。

「か、けるさん……?」
「すずちゃん、好きだよ」

 本当に、壊してしまいたいほどに好き。ぷち、ぷち、とすずちゃんの服のボタンを外していく。すずちゃんは青ざめて身を捩った。どうして嫌がるんだろう。俺はいつでもどこでもすずちゃんに触れたいって思ってるのに。

「翔さん、ここでは、やだ……っ」
「大丈夫だよ、誰も来ない」

 木で作られた小さな休憩所。聞こえるのはすぐ近くを流れる川のせせらぎだけ。俺はすずちゃんの躊躇いを取り払うように唇を重ねた。
 ……いつものメンバーでバーベキューをすることになって。智輝がサークルの友達を連れて来た。その子がすずちゃんに片思いをしていて、ひたすらすずちゃんの隣ですずちゃんに触っていた、それだけのこと。俺がすずちゃんの彼氏だと知らないらしいその子は、俺の目の前ですずちゃんを口説いていたから。我慢できなくてすずちゃんを連れ出した。悠介にはしばらく二人にしてと頼んだから、きっと誰も来ない。……あの子は、すずちゃんを探しに来るかもしれないけど。

「翔さん、離して……っ」
「……嫌だ」
「え……」
「すずちゃんに触っていいのは俺だけだから」

 そこですずちゃんは、俺の様子がおかしかった理由に気付いたらしい。悲しそうに顔を歪めて俺の頬に触れた。

「そうですよ。私が触れてほしいのは翔さんだけ」

 俺は頬に触れたすずちゃんの小さな手を握りその手に口付けた。

「……すずちゃん、気持ちい」

 すずちゃんの頭を撫でてあげると、すずちゃんの目が嬉しそうに細められる。ベンチに座った俺の脚の間でご奉仕してくれるすずちゃんは本当に可愛い。勃ち上がった俺の自身を小さな手が掴み、ゆるく扱く。小さな口を出入りする光景はいつ見ても扇情的だ。
 小さな足音が聞こえて少し振り返ると、あの子がこっちに来るのが見えた。予想通り、探しに来たか。

「すずちゃん、ありがとう。もういいよ」

 潤んだ目で俺を見上げるすずちゃんを労わるように頭を撫でる。すずちゃんは気持ちよさそうに微笑んで俺に抱き付いてきた。すずちゃんがあの子に気付かないよう、あの子に背を向けさせた。

「挿れてあげる。そこに座って」

 俺が座っていたところにすずちゃんを座らせ、さっき愛撫したせいでドロドロになったそこに俺のを宛てがう。すずちゃんは俺の肩にしがみついて、期待の眼差しを向けた。……ほんと、可愛い。

「んっ、んんんっ」

 外だからあまり声を出しちゃいけないと思うんだろう。声を我慢しながらも出てしまうすずちゃんが可愛くて。俺は耳元に口を寄せ何度も可愛いと囁いた。奥まで入っていく俺にすずちゃんは背を仰け反らせて感じてしまう。俺はすずちゃんの白い首筋に噛み付いた。

「か、けるさ、すき……っ、だいすきっ」

 もっと、もっと言って。君が俺だけのものだって、俺にも、他の男にも分からせて。チラッとあの子を見ると、少し離れたところで呆然と立ち尽くしていた。俺しか触れられないすずちゃん。俺にだけエッチな顔を見せてくれるすずちゃん。絶対に誰にも渡したくないんだ。

「……すずちゃん、愛してる」

 そう言うと中がきゅうっと締まる。熱い息を吐いて、俺はすずちゃんにキスをした。すずちゃんの手が俺を引き寄せるように俺の首に回る。そして自分から舌を絡めてくる。大人しそうなすずちゃんかは予想もできないエッチなすずちゃん。こんな体にしたのも、見られるのも、俺だけ。
 わざとゆっくり出し入れすると、すずちゃんはもどかしそうに俺を見上げる。強請るような視線が可愛い。でも入っているのがよく見えて、そこに見入っているのもエッチで。

「すずちゃんのここ、嬉しそうに俺の咥えこんでるね」
「っ、ん……、」
「すずちゃんの蜜で俺の濡れてる」

 一旦抜いて、濡れそぼるすずちゃんの中心を舐め上げた。すずちゃんの体が跳ねる。すずちゃんの体をしっかりと押さえて、丹念にそこを愛撫した。甘い声が鼓膜を揺らして俺の心臓を鷲掴みにする。止められなくて、俺はすずちゃんの体がびくんと震えるまで愛撫を繰り返した。

「っ、待っ、まだ、イッて、んんん!」
「っ、はぁ、気持ちい……」

 唇を離して一気に俺のを奥まで挿れると、すずちゃんはイキっ放しになる。口を半開きにして目を見開いて、肩で息をして。体が痙攣したように跳ねているから、俺はすずちゃんの体をぎゅっと抱き締めた。

「すずちゃん、気持ちい?」

 声も出せず、首だけがカクカクと動く。顔を見ると、口の端からよだれが垂れていて、俺はそれを舐め上げた。

「可愛い。俺だけのすずちゃん」

 心も、体も。俺だけに反応して。そうしたら君に息苦しいほどの愛情をあげる。

「すずちゃん、全部中に出すからね」
「っ、んっ、んんっ」
「欲しいって言って?」
「うっ、ううっ、かけ、るさ、」
「ん?」
「ちょうだい、すずに、翔さんの精子、ちょうだい……!」
「ん」
「全部、すずの中に、出して……?」
「……いいよ、全部あげる」

 あの子は立ち尽くしたまま俺たちを見てる。すずちゃんの可愛くてエッチなおねだりも全部聞こえてるはず。もうすずちゃんに手を出そうなんて馬鹿なこと考えないよね?だってすずちゃんは俺のことだけが好きで、俺だけを求めてるんだから。

「はぁ、すずちゃん、イくよ」
「んっ、かけるさ、ほしい……っ」
「はっ、イく……!」

 どくん、と一番奥で震えた。すずちゃんも同時に体を震わせる。すずちゃんの胸に頬を寄せ、吐精が終わるまで息を整える。すずちゃんの小さな手が俺の頭を撫でるのがたまらなく愛しかった。
 しばらく休んでみんなのところに戻った。悠介が買い出しに行ったと言ってくれたらしい、みんな俺たちが抜けていたことに特に何も言わなかった。

「はい、お酒」

 買ってきたお酒を久人に渡し、お皿を渡してくれたすずちゃんにありがとうと微笑む。お肉食べましょうと俺の腕を引いてあの子の隣にすずちゃんが立った時、あの子の顔が分かりやすく引きつった。
 ……さっきまで俺に抱かれてたのは正真正銘、君の大好きなすずちゃんだよ。大人しそうで内気なすずちゃんが、俺の腕の中だけで乱れるんだ。すずちゃんの首筋につけた薄い噛み跡に気付いて顔を青ざめさせるあの子を見て、俺は薄く笑った。

「翔さん、どれがいいですか?」
「……何でもいい」

 鼻歌を歌ってしまいそうなほど機嫌のいい俺を、すずちゃんは不思議そうに見上げる。可愛いすずちゃんの頭を、俺はそっと撫でた。

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