苦しいほどに

 すずちゃんは俺に出会えて幸せだと思ってくれているだろうか。俺はもうすずちゃんと出会う前のことなんて思い出せないくらいすずちゃんを必要としているし一緒にいられることが幸せだと思う。

「翔さん、見て。星綺麗だね」

 そう言って花のように笑うすずちゃん、俺が何も答えないことに拗ねるすずちゃん、そして、後ろから抱き締めた時に驚きながらも俺を受け入れてくれるすずちゃん。どんなすずちゃんも愛しくて全部目に焼き付けたいと思うほど。

「……愛してる」

 きっと俺の愛情は重い。いつかすずちゃんを押し潰してしまうんじゃないかと思う。でも、すずちゃんはきっとそんな俺のことも全部受け入れて、笑ってくれるんじゃないかと思うんだ。

「翔さん、私も大好き」

 そう言われてようやく空を見上げた。ああ、確かに綺麗だね。すずちゃんに出会う前の俺に教えてあげたい。星がこんなに綺麗だってこと。

***

「今日はすずちゃんがしてくれる?」

 ベッドの上でそう言えば、すずちゃんは恥ずかしそうに頬を染めながらも頷いてくれた。別に不安になったわけじゃない。すずちゃんとの関係に何の不満も不安もないし、幸せすぎて怖いとも思わない。俺も、すずちゃんも。今まで幸せな恋愛をしてこなかったのは二人が出会うためだったんじゃないかと思っているから。ただ、すずちゃんが俺のために必死になっている可愛い顔を見たかっただけ。
 ちゅ、ちゅ、とすずちゃんの唇が首筋に触れる。最初の頃は恥ずかしがっていたけれど、随分性行為に抵抗がなくなってきた。俺とするセックスをすずちゃんが気持ちいいと思ってくれているのは見たら分かるけれど、好きになってくれたらいいな。
 小さな手がボタンを外していくのはいつ見てもそそられる。本当は今すぐ押し倒して欲望のまますずちゃんを抱きたいけれど我慢。そんなんじゃもったいない。心も体も全部くっつけるみたいに愛し合わないと、もったいない。
 露わにされた肌にすずちゃんの指が滑る。真っ赤な舌が上半身をくまなく愛撫して、俺は熱い息を吐いた。すずちゃんが服を脱いで俺の腰に跨る。下着越しに下半身が触れ合って、すずちゃんは体を震わせた。

「下着越しでも濡れてるの分かる。エッチだね」

 俺の言葉にすずちゃんはまたゾクゾクと体を震わせて、甘い声を上げた。ブラを指に引っ掛けて下ろすと、可愛い乳首がぴょんと飛び出た。

「舐めたい」

 すずちゃんは髪を後ろで纏めて持って、体を倒す。俺は動かず舌を出していると、恥ずかしそうにしながらも舌に胸を押し付けた。周りの色の変わったところを舐めて、焦らす。すずちゃんは食い入るように俺の舌を見つめていて、可愛くて下半身がまた熱くなった。すずちゃんのお尻を掴んで揺らす。下着越しなのがもどかしい。不意に硬くなった乳首に舌が触れて、すずちゃんはびくんと体を震わせた。一度触れればもう止められない。吸って舐めて、十分に愛撫した。

「そのうち乳首だけでイけそうだね」
「翔さ、こっちも……」

 すずちゃんは自分で下着をずらして俺のお腹の上で脚を開く。余裕がないところはなるべく見せたくないのに、あまりにも扇情的な光景にゴクリと喉を鳴らした。

「……ん、舐めたい。こっち来て?」

 胸の上まですずちゃんが来た時、さすがに我慢できずに舌を伸ばした。男としてのプライドだとか虚勢だとか、今までどうでもよかったのにやっぱりすずちゃんにはいつもかっこいいと思われたい。なのにすずちゃんの体を前にするとそんな余裕もない矛盾。少し悔しい。
 次から次へと溢れてくる蜜を吸って、舌を突起に押し付ける。すずちゃんの気持ちいいところは覚えてしまった。そろそろ新しいところを開発していかないとな。そんなことを思いながらすずちゃんを見上げると、すずちゃんは気持ちよさそうに蕩けた顔をしていた。……ああ、可愛い。何度抱いても飽きない。
 左手で胸を揉み、右手で自身を扱いた。パンパンに硬くなったそれをすずちゃんの中に挿れたら気持ちいいだろうな。すずちゃんの体が強張っていく。ハクハクと小刻みに震えるすずちゃんの唇。イキそうな時のすずちゃんの癖。

「かけるさ、イく……っ」

 びくん、びくん、と二度大きく揺れた。すずちゃんは力が入らなくなった体をベッドに横たえる。俺は口の周りについた蜜を手首で拭い、すずちゃんの手を引いた。

「……まだ休んじゃダメ。俺のこれ、大きくなってはち切れそう」

 俺のを見たすずちゃんの喉が動いたのが分かった。仰向けに寝転んだすずちゃんの胸に俺のを挟んで、俺は腰を振った。チロチロと先を舐めるすずちゃんが可愛くてもうイキそうになる。

「はぁ、すずちゃん、愛してる」

 頭が真っ白になる直前。俺はすずちゃんの足元に移動して一気に奥まで侵入した。すずちゃんは背を仰け反らせて軽くイく。ああ、ほんと余裕なんて0だ。すずちゃんを抱く時俺は、気持ちよくて、嬉しくて、切なくて、幸せで。愛しすぎて苦しい。
 脚を大きく開くと繋がっている部分がよく見えて更に興奮する。すずちゃんは俺の手を掴んで必死で快感に耐えていた。こんなに乱れた可愛いすずちゃんを見られるのは俺だけ。じっくりと脳に焼き付ける。まるで俺の中にすずちゃんを閉じ込めるみたいに。

「すずちゃん、愛してる」

 重くても、受け止めて。俺の全部で君を愛しいと思う気持ち、全部。君は俺にとってたった一人の特別な人。

「か、けるさ、ぎゅってして、」
「ん、」

 伸ばされた手に応えてすずちゃんを抱き締める。でも頭を撫でる小さな手が心地よくて、どっちが抱き締めているのか分からなくなった。甘い吐息が混ざり合う。至近距離で見たすずちゃんの瞳の中には情けないほど幸せそうな俺が映っていた。

「……すずちゃん、幸せ?」

 ふわりと笑ってすずちゃんが頷く。胸に込み上げる何かを呑み込んで、俺も笑った。

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