1月下旬。冬も真っ盛りなこの時期、外はチラチラと雪が降っていた。
「烏間!」
「?」
振り向けば赤井と花岡がいた。
「今1人?」
「ああ、そうだが…」
「なら丁度いい!ちょいちょい!」
花岡は烏間の腕を取って歩き出す。勿論赤井も。
「なんだ?」
「お前今日何日だ?」
「今日?……あぁ、なるほどな。知ってたのか、お前ら」
「もちのろんよ!…で、烏間は同室なわけだけど…もう言った?言っちゃった?」
「いや、まだ言ってない」
そう烏間が言えば2人は二カーッと笑う。それを見て、やはり朝起きた時言おうとしたのをなんとなく止めて良かったなと心の中で笑う。
「今日は休日だけどなんもプレゼントとか用意出来てねぇからさ、その代わりと言っちゃなんだけど1番一緒にいるから1番に祝ってやりてぇなって」
「ほら、なんか先月の下旬って柴崎大変だったっぽいじゃん?バタバタっていうかさ」
「…そうだな」
丁度今から1ヶ月程前は柴崎の父の事で本人もバタバタしていた。あれからもう一ヶ月経つのか…。
「ストレートに言うか?それともドッキリ?」
「ドッキリしてあいつビックリするか?…なんかあんま想像できねぇな…」
「は?みたいな顔されそう…。……よし、ドッキリ止めよう。んー…やっぱストレートに言うかね?」
「なぁ、烏間どう思う?」
「そのまま言えば良いんじゃないのか」
「あー、飾らずに?」
「あぁ。その方があいつには回りくどくなくて良いと思うがな」
「流石ですわ、烏間さん。良く分かってらっしゃるっ」
「誰だよお前」
「花岡でございまーすっ!」
オホホホ!と言う花岡に赤井はアホかと笑いながらポカリと頭を叩く。烏間は年明けても変わらないなとそれを見てるだけ。
「んじゃまぁ、直球で誕生…おおおおお!!?」
「?…あれ、花岡…と赤井と烏間」
廊下の角でバッタリ柴崎とご対面な3人。1番驚いているのは言いかけた花岡だ。彼は大きく肩を上げて、更には両手も上げている。
「よっ、柴崎」
「…資料室行ってたのか?」
「ん?ああ、そうそう。ちょっと調べ物しててその帰り」
小脇に抱えるファイルが資料室の帰りであるという事を知らせた。
「花岡はどうしたの?」
「あぁ、こいつは良い良い!ほっときゃ直る!」
「?」
首を傾げた柴崎。そんな彼に声が掛かる。
「あ!柴崎ー!」
「坂木、木下。どうしたの?」
「良かった良かった!今日居たんだな!」
「?…居たけど、なんか用あった?」
「あれ…。…ははっ、まぁなんか柴崎らしいなっ」
「あぁっ。なぁ柴崎、今日誕…「「待てーーーーい!!!」」…ぅわ!なんだよ、赤井、花岡!」
何かを言いかけた木下に2人は柴崎と坂木、木下の間に入り止める。
「まだ俺ら言ってねぇ!」
「え?あ、まだお前ら言ってなかったんだ」
「おうよっ。これからだ!」
「なんだもう言ったのかと思ってたわー」
「こういうのはだな、ちゃんと計画を練って練って練りまくっ…「あ!柴崎ー!誕生日おめでと!」…溝淵てめぇ!!」
どっからか湧いて出てきてサラリと言ってしまった溝淵。そんな彼に赤井と花岡は詰め寄る。寄られる溝淵はなんで!?という顔をしている。
「えぇ!?なんでそんな怒んの!?」
「俺らが1番に言おうと思ってたのに己と言う奴は!!」
「やすやすとどっからか来て掻っ攫いよって!!」
「溝淵言ったならもう良いか」
「だな。柴崎!誕生日おめでとうっ」
「おめでとう、柴崎!」
「木下!!坂木!!」
「お前らまで俺らを裏切るの!?」
木下、坂木までもが赤井と花岡を裏切り(?)、サラリと口に出す。
「…誕生日?」
え?という顔をする柴崎に、隣に居た烏間はそれに、は?となる。
「…忘れてたのか?」
「え…、あれ今日何日?」
「…1月25日だ」
「…あ、あぁ!誕生日!あー、忘れてた」
「忘れるか?普通」
「あはは…;;」
「なんだ柴崎忘れてたのか?」
「案外抜けてんのなー」
「柴崎は結構抜けてるぞ」
「ははっ!烏間が言うならそうなんだろうな!」
「坂木…」
「悪い悪いっ、柴崎」
ジト目で坂木を見た柴崎。そんな彼に坂木は悪いっと言って笑う。
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