5歳 / カカシ世代
 質問です。ナルト三大イケメンキャラと言えば???

 第一位!どんな時もカカシの友であり続けた木の葉の珍獣マイト・ガイ、第二位!殺されかけようと幻術かけられようとサスケを想い続けた女子力カンストサクラちゃん!なわけであるが(個人の意見である、異論は認める)、その第三位は三大萌えキャラと同じく不在だ。
 ガイは凄い人だ。チャクラがあればとりあえずOK!物量で攻める20世紀のソ連軍のように、チャクラさえあれば基本何でもできちゃうような世界で、忍術無しで戦い続けている。そのどこまでも明るく、上向きで、燃え続ける精神。流石ダンゾウをして”お前には闇が足りん”と言われるだけのことはある。
 昔はガイのことを見下していたカカシも、きっと大人になるにつれガイの有難みを理解していったのだろう。辛い時期も楽しい時期もいつも変わらず自分に接してくれる友人は、どれほど眩しいものなのか。わたしにも少し理解できる。
 なおサクラちゃんについて語ると長くなるので割愛する。っていうかサクラについてはうまく言い表せなくて……でもとにかく好きで。サスケの里抜け止めるときの「なんだってする」や、サスケを殺すために一人挑んだときの、「わたしも里を抜ける」や、なんていうか本当に命かけてサスケのこと好きなんだなーって思うと、もうそっかあって、見守るしかない。
 一部の時はサクラって全然進歩しないな〜いっつもこんなことばっか言ってんな〜って思ってたけど、終わって振り返ってみると、サクラちゃんヤバかった。すごかった。ウザイよとか言われてもまだサスケのこと好きとかね、わたしみたいな臆病な人にはできない恋だなぁって、凄く眩しく思える。
 だから、私の心の中で一番輝いている女の子キャラは、サクラちゃんなのだ。


「サエというのか!ハハァいい名前だ!!!」
「ありがとうございます」
「それで何故俺の名を……?!」
「いや、体術が凄いと耳にしたもので……」
「なっなんの!それほどでもないぞ〜〜お前も鍛えればすぐ、俺のようになるッ!どうだ、ともに青春時代を駆け抜けようではないかァ!!」
「機会があれば是非」
「なるほど!その年でもうアカデミーに入りたいとは感心だ!!まあそういう俺も入学は5歳だったが、今とは時代が違う!焦る必要はないぞ!」
「そうですかね〜…」
「…………暑苦しい」 突如現れたマイト・ガイ一行が加わって、団子屋は一気に満席になった。まず、わたしの正面に、

「ガイ、あんま絡んでやるなよ。嫌がってるぞ」

 とコテツが、わたしの隣には

「生き残ってよかったな」

 とアスマが、更にその隣に

「本当よ……まさかミナト先生があんなことになるなんてね」

 と紅が座って、一気に原作キャラに囲まれるという異例の事態となっている。
 なんだろうこの、そこそこの予算のアニメ見てたら突然豪華声優ばっかり出てきて慌てるみたいな展開。大量放出すぎるだろ。てか担当上忍世代みんな可愛すぎ。
 おっさんやおねーさんの彼らしか見ていないわたしとしては、こんな14歳?15歳?くらいの彼らを見ていると夢にしか思えない。因みに、

「でもなぁ〜火影って誰がなるんだろ」

 って言って今二個目の団子を口に入れた、顔半分が髪の毛で覆われてる人もいるのだが名前が思い出せない。顔は覚えてる、確か角都と戦ったときにコテツと一緒にいた人だ。なんだっけなー。

「アカデミーって入学できない人もいるって聞いたんですけど、どうやったら入学できますか?」
「一応試験があるけど、まあ大丈夫だろ」
「そうだ!!やる気と根性があれば大丈夫だ!」
「とても修造みあるお言葉ありがとうございます…」

 やる気はあるけど根性はどうかなぁ。
 わたしは少々不安になりつつお茶をすする。

「こらガイ、適当なこと言って入学できなかったら可哀相でしょ?」
「そうかぁ〜?むしろ入学できない方がいーんじゃね。忍は危ないし」
「イズモお前なぁ……」

 顔半分が髪の毛で覆われているひとの名前がわかった。ありがとうアスマさん。

「ま、大丈夫だろう。あの事件で里内外の警備を強化せざるを得なくなったから、里は若い忍を欲しているはずだ」
「そうですか。ありがとうございます、頑張ります」
「うん。ほどほどにな」

 アスマ少年はにっこり笑ってわたしの頭を撫でた。
 コゼツは、カカシ世代の方々が来てから物珍しそうにきょろきょろと見つめていたが、主にコテツと仲良くなったらしく何か楽しそうに喋っていた。思えばコゼツが家族以外とまともに会話しているところを見るのは初めてで、なんだか微笑ましい。そんなわたしの様子を見て、仲がいい兄弟だな、とガイさんたちもほのぼのしていた。ああ、そんなガイさんも可愛い。
 最後の団子にかぶりついがコゼツは、何も刺さっていない串を見つめながらもぐもぐと口を動かしつつわたしを見る。そうだね、もう帰ろうね。用事は済んだとばかりに席を立って、わたしたちは団子屋を後にした。


「カカシいなかったな…」
「団子美味しかったね〜〜!」
「そうだねー」

 オビトが死んで、リンが死んで、ミナト直属の暗部に配置されてクシナの護衛任務についてやっと少し明るくなったと思った矢先に、その信頼できる師を失う。カカシは再び気持ちが落ち込んでいて、だからガイは団子に誘えなかったのかもしれない。ナルト風に言えば、闇に囚われている時期だ。

「コテツさんと仲良さそうだったじゃん。何話してたの?」
「うんこが「団子屋でうんこの話したの?!」」

 ウワァァァァッ!食卓で汚い話はしないっていう常識、もっと教えておけばよかった!!!

「だんごとうん「この響きが似ててもダメ!」」

 似てても口に出しちゃだめなやつそれ!!!あぁ〜〜申し訳ねえ……コテツさん…ちゃんと団子全部食えたかな…。
 帰路につく間、ご飯を食べているときに排泄物の話や汚い話はしない、と念入りに説教した。


 その数日後、事件からおよそ二十日が経ってから漸く九尾事件で亡くなられた人たちの合同葬儀が行われ、わたしと父はそれに参加した。わたしの目的は、亡くなった人が誰なのか朧げに残っている記憶と照らし合わせることと、少年のカカシを一目拝んでみたいという純粋な好奇心を満たすことだ。その両方はつつがなく遂行できた。

「紅のお父さん、イルカの両親は分かったけどあとはよくわかんなかったな……」

 ペラリ。ノートをめくる。
 わたしは年表に、何月何日に何が起こって、その時見た人、知りえた人の年齢を書き込んで少しずつ細かいものに仕上げている。その故人の欄に、”紅の親(仮)””イルカの両親(仮)”と書き込み、ふとアスマの親ってヒルゼンか…と遅まきながら気づいた。
 ヒルゼン、随分遅くに子供を授かったんだな。

「あっ、そういえば木の葉丸ってヒルゼンの孫だ」
「……」
「あれ?てことは、アスマの兄弟が木の葉丸の親?アスマに兄がいれば納得だな」
「……」
「ダンゾウって子供いないのかなぁ。いなさそうだなー」
「……徹底してるねー。九尾事件は終わったんだし、あとはもう13年後?の木の葉崩しとかいうのまで一応平和なんでしょ?」
「うん…。平和かどうかはさておき、両親が死ぬ可能性は減ってる」

 あくまで、うちの家族が突発的な事故とかに巻き込まれなければの話だけどね。
 わたしはそう言って、パタンとノートを閉じた。
 このノート、冗談でも他人に見せられるようなものじゃない。今は仕方なく本棚の隅に挟んでいるけれど、できればどこか安全な場所に隠しておきたいものだ。

「大事なんだね」
「何が?」
「……ユズリハさんたちのこと」

 コゼツはテーブルに頬杖をついて、薄っすらと笑いながらわたしを見ている。

「うん。できることなら24時間体制で監視したい」
「家族専用暗部」
「ははははは」

 確かにねー、家族専用の監視任務に就きたいよ。でもプライバシーは保護したい。
 母が帰ってきたので、コゼツと一緒に夕飯の準備を手伝いながら、ふと考える。
 九尾事件の犠牲者の中に、うちは一族の人間は一人もいなかった。ダンゾウは、うちはが九尾を操るかもしれないから警務部隊を前線から引かせたのか、それともうちは一族に対する里の人々の目を不信に染めるために前線から引かせたのか、どっちだろう。だがどちらにしても、立ち並ぶ遺影を見る人々の顔は失意のどん底だった。このやりきれない悲しみをどこに向ければいいのだと、そう考えているときに、一つの分かりやすい事実に気付くことはさほど難しくないのだ。
 たいへんだねえ。
 慣れた手つきで餃子の皮を包む。転生する前、餃子はわたしの得意料理で好物だったから、今日の夕飯は楽しみだ。



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