困った表情で見上げる有志。
少し目も潤んでいる。
その表情はあまりにも刺激が強すぎて今にでも襲ってしまいそうな智希だが、ぐっと喉を鳴らし堪え一つ咳払いをした。
「じゃあ、一つだけ俺の頼み聞いてくれる?」
「いやだ」
「まだ何も言ってないじゃん」
「怖い」
今度は身を縮こまらせ智希を見上げ怪しそうに見つめる。
その直感はあながち間違ってないわけで。
「別にいいよ。聞いてくれないならこのまま進めるし」
「まっ、あっ!」
ぎゅっと有志の股間を掴むと、手のひらでヤワヤワと揉み始めた。
首筋には熱い吐息。背中には熱い心臓の音。
「あっダメっ、揉んじゃ、だめっだっ!」
必死に智希の腕を掴み離そうとするが、びくりともしないということはすでに経験済み。
でも一応力を込めて抵抗するけれど、段々感じてきた快楽のせいもあって全く動きもしない。
ほっほんとにこのままだったらヤられる!
しかもさっき新聞取りに行ったとき、玄関の鍵閉めてない気がする。
やばい!あいつなら勝手に中に入ってきそうだ!
「智…」
「ん?」
有志の股間を揉む手は全く緩めない。
揉んだまま顔を覗き込むと、薄っすら高揚した頬と潤んだ目を智希に向けていた。
ゴクリ、と智希の喉が鳴る。
「きっ、聞くから。お願いやめてくれ」
「…了解」
智希は余裕あるように笑ったつもりだが、理性を保つので精一杯だった。
今すぐにでも押し倒したい。
服を全部脱がしたい。
奥へ突き挿したい。
ふぅ、と深呼吸をすると有志のソレを掴む手を離した。
その瞬間有志の体もホっと体が緩む。
「ちょっと俺、部屋行ってくるから。約束、守ってね」
「ん」
チュっと触れるだけのキスを有志に落とすと、いつもの穏やかな笑顔でリビングを去った。
「はぁ…。ちょっと勃っちゃった…」
ズボンの上から少しわかる膨張した自分のソレを見下ろし情けなく溜息をついた。
智希は2分ほどでリビングに戻ってきた。
手を後ろに組んでニコニコ笑っている。
何か、隠し持っているようだ。