Sunday
02
「わっ!」

智希に腕を掴まれヒョイっと持ち上げられると、ソファに座る智希の膝の上に座る体勢になった。

まずい。
この体勢は非常にまずい。

「智っ!だめ!だめだ!」

「だめじゃない」

「とっ!」

ぎゅっと後ろから抱きしめられた。


ああああ
ほんとダメだって
絶対やばい
でもでもでも
ああああ



もっときつく抱きしめてほしい。



「あ、勘弁した?」

「っ、してない!」

一瞬緩んだ有志の体に気づき後ろから肩口に顔を出すと、有志は足をバタつかせ必死にもがいた。
バタンバタンと、まるで駄々をこねている子供のようだ。

しかしこれぐらい本気に抵抗しないと、勝てないのだ。
いや、きっとこれから一生力では勝てない気がする。

「とーもー!」

「わかった」

「はっ離してくれる?」

首を後ろに回すと、まだ智希の顔は冴えずムスっとひねくれていた。

「離す、けど、直前まで言わなかった父さんはひどい」

「だっだって言ったら何か仮病でも使って来れなくするだろ」


図星だ。


「な、昼飯。昼飯一緒に食べるだけだから。な?」


「その昼飯作るの誰だよ」

「寿司取る」

「ダメ」

働いているのは有志だが、実際家計をやりくりしているのは智希なのだ。

簡単に寿司でも取ろうものなら一時間近く説教される。

「ほんとにごめん智希。直前まで黙ってたのは謝る。でも今日だけだから。お願い」
[85/212]
←BACKNEXT→
しおりを挟む
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -