「金曜の夜と土曜日は何時間でもシていいから、平日は挿入なし……か」
「っ……なななんだ、急に」
卵が喉に詰まりそうになった。
有志もその事を考えていた焦りどもってしまう。
箸を置いてお茶の入ったマグカップに手を伸ばす。
ゴクゴクと喉を鳴らす光景を智希はじっと見ていた。
「やっぱ拷問なんですけど」
「し、仕方ないだろ。仕事あるんだから。智希だって毎日部活あるだろ」
「俺は余裕」
ムスっと口を尖らせ片膝を立てて頬を乗せる。
こういう所はちゃんと子供だ。
「ま、毎日やったって飽きるだろ」
「飽きないよ」
今度はお茶を吹き出しそうになった。
背筋を伸ばし真剣に有志を見つめ即答する。
「ずっと父さんと一緒にいたいし、ずっと繋がってたい」
たまに、眩しすぎて目眩がする。
こんなに強く、熱く愛されたのは生まれて初めてだ。
高校まで地味で目立たず全くモテなかった。
イジメられていた過去もある。
でも沙希と、智希の母親と出会い、生まれて初めて恋をして、初めて家庭を持って、初めて最愛の人を失った。
そして沙希を越える最愛の人物に気付く。
沙希が死んで、失う怖さを知って。
智希が生まれて、強い独占欲に気付いて。
誰かに認めてもらおうと思ってるわけじゃないし、これが正しいとは思っていない。
俺は死んだら地獄に行くんだろうな。
でも智希だけは智希だけは。
「父さん?」
「ん?」
「大丈夫?一瞬飛んでたけど気分悪い?」
「ううん、大丈夫。ご飯、おいしいよ」
精一杯の笑顔で答えたけれど、もちろん智希には引っ掛かっていて。
「父さん」
「ん?」
智希が用意した食事を全て食べ終えると、口を拭いながらトレーを机に置いた。
まだ体はベタベタしていて正直早く風呂に入りたかったが、再び腰をベッドに降ろす。
下着もつけず一枚だけシャツを羽織り、なんてだらし無い大人だと思ったが最近の夜の生活のせいか、ま、いいかとも思ってしまう。
慣れとは怖い。
「どした?」
「バイトしていい?」
「ダメ」
「えぇー」
最近智希はよくこの話をするようになった。
有志も、なんとなくこの話になるだろうなと思っていたため大きなため息をつく。