一呼吸置いて、色んな感情が混ざり合って。
「はい、了解です」
ザァっと木々が揺れまだ肌寒い風がなびく。
「泉水、うちの高校選んでくれてありがとう。お前とバスケ出来たことは誇りだよ」
「やめてくださいよ大谷さん。俺の中でずっとあなたはキャプテンです。どんな環境になってもずっとキャプテンですよ」
「俺は?」
「キヨさんは、まぁ、良い先輩です」
「なんか薄くね?」
ケラケラと笑って、間があって、なんだか寂しくなって。
「頑張れよ、泉水」
「大学でお前の活躍チェックしてるからなー」
「了解です」
また、風が吹いて、二人が、去って。
4月になり、智希は3年生になった。
変わることのないと思っていた有志との関係が変わった高校2年生。
半年もすれば欲は薄くなるだろうと少しだけ思ってた。
しかしそれは全くの逆で。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
ちゅっ、っと音を立てて唇を合わせる二つの影。
それはもう親子ではなく、完全に恋人である。
「おはよー泉水」
「はよ」
「眠そうだな」
昨日遅くまでヤってたからな。
「宿題終わってないとか?」
「んーまぁーそのー、なんていうか」
クラスメイトの藤森と道中ばったり会い一緒に行くことになった。
思いが通じ合ってからの決まり事、次の日が学校や仕事の時は「挿入なし」の約束。
いつもは金曜日の夜から土曜日にかけてほぼ1日抱き合っている二人だが、希に「お許し」が出る。
昨日は最後までさせてくれた。
むしろ父さんから求めてきた。
なぜか。それはきっと。
「沙希、おはよう。今日から智希は高校三年生だよ。君がいなくなって15年が経ったね。君はやっぱり、天国で」