BE THERE
04
みんなに、智希を自慢したかった。

男同士である前に、血の繋がりがある二人。
軽蔑されることはわかっている。

でも、離れることはできない。

有志はゴクンと喉を鳴らし、手を握り返した。
甘い恋人がするように智希の肩に頭を預け、ゆっくり目を閉じる。

幸せだ。


文明の利器とは凄いもので、1時間で北の大地北海道に着いた。
極寒まではいかないがまだ北海道は寒く息も白い。

空港に降り立ち電車を乗り継いで駅から出ると、ビュンと冷たい風に有志は目を閉じた。
冷たい手をじっと見つめ、はぁっと温かい息をかけると急に腕を引っ張られた。

「寒いね」

にっこり笑いながら有志の手を握る智希。
一瞬にして有志の体は固まり赤面したが、すぐに顔が緩みヘヘっと笑った。

いいんだ。
ここでは、いいんだ。

段々温かくなっていく手の温もりを感じながら、二人寄り添うように歩いて行く。

思っていた程ジロジロとは見られず、チラリと見られる程度で去っていく。
罵声も聞こえない。

「ね、そんな気にするほどでもないだろ」

「うん」

有志の考えていたことがわかったのか、智希は安心する笑顔で微笑むと強く手を握りしめた。
宿泊先のホテルまでは駅から徒歩5分程。たった5分でも、今まで二人が出来なかった恋人としての時間を楽しんだ。


智希が立てたプランで、まずはホテルから徒歩10分ほどにある有名な観光地時計台に行き、その後おいしいと評判のスープカレーを食べに行く。
今日はこれだけにして、明日明後日と色んな箇所を回る体力を温存することに決めた。

部屋に案内され中を見ると、なかなかの広さと清潔さで一気に二人のテンションが上がる。
有志も、智希が生まれてから3泊の旅行なんてしたことがなかったため嬉しさのあまりフカフカのベッドにダイブした。

「凄い!ふかふかー!」

「はしゃぎすぎ」

相変わらず、どちらが父親かわからない。

智希はクスクスと笑いながら部屋を物色し、見つけたクローゼットの扉を開けジャケットをハンガーにかけた。

「ほら、有志もジャケット脱いで」

「!!呼び捨てするなって言っただろ…」

「だって手ぇ繋いでて父さん、って言うの変だろ。親子だってバレたらイチャつけないよ?」

う、と。ベッドに座り眉間にシワを寄せる有志。
葛藤しているようだ。

「でも、父さんがそんな嫌だったら…言わないよ」

「嫌……な、わけ…」

智希と外で手を繋いで歩きたい。

でも名前を呼ばれるのは恥ずかしい。

ってか息子に下の名前で呼ばれるなんて慣れるわけ。
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