「北海道?」
「うん。特賞当たった」
「凄いな。俺そんなの当たったことない。智希の運分けてほしいよ」
「たぶんこれで一生分の運使った」
ハハっと笑いながら先程の行為で濡れた滴る汗を拭わずベッドに体を預ける有志。
月明かりだけが彼を照らしている。
はぁ、と呼吸を整わせながらうつ伏せになり枕に顔を埋めた。
智希はその隣で目を細め有志の頭をサラリと撫でる。
それに答えるように有志は顔を上げニコリと微笑んだ。
「いいね、北海道。息抜きに行っておいで」
「何言ってんの。ペアだよ?父さん以外の奴と行くわけないじゃん。一緒に行こうよ」
「え。」
「父さんが行かないんなら北海道行きのチケット返してくる」
「ほんとに?」
顔を枕に半分埋めながら見上げる有志を見て、ぐっと智希の喉が鳴った。
さっきまであんなに激しく求め合ったというのに、簡単にまた反応するその若さ。
「ほんと」
「と、智っ、もうしない、からな」
「うん」
やや強引に有志を引き寄せ自分の腕の中に閉じ込めると、こめかみに何度もキスを落としながらきつくその感触と匂いを味わった。
お互いの液でべとべとになった体だというのに、触れ合っても全く嫌悪感は無くむしろ心地良い。
気持ち良いから。
ただそれだけの理由でセックスをしているわけじゃない。
求められている。
そう感じれるからだ。
「いつ?」
「日程はこっちで決めれるんだけど、父さん仕事今忙しい?」
「んー。ちょっと調整してみるよ」
「うん」
「智希は?」
「俺は春休み入ると5日ぐらい休みになるから、できればその辺りがいいなーって思ってた」
「そっか。ちょっと課長と相談してみるよ」
「でも無理だったらまた夏とか秋でも」
「俺も早く智希と旅行行きたい」
智希に抱きしめられた腕を掴みながら照れた表情で見上げる。
するとすぐそこには智希の顔があって、想定外だったのか顔を強ばらせている。
「父さん」
「ん?」
「ごめん、やっぱもう一回だけ」
「ちょっもっ腰無っ無理っあっ…ダメっあっ掴んじゃっ智ーーーー!」