攻めが思い浮かべた体液をどちらか口にするまで出られない部屋

「恵くん、ムッツリだなぁ」
「うるせぇ」
体液と言われ、唾液を思い浮かべたという彼に思わずそう呟く。私の言葉に少し顔を赤らめて顔を背けた恵くんだったけれど、その裾をくいと引くと私を見下ろす彼と目が合った。
「ん。じゃあ外出よ?」
「ああ」
恵くんの大きい手が私の頬にそっと触れる。緊張しているのか、ほんの少し震えているようだった。
「っ……」
――唇が重なる。その瞬間、恵くんの手に力が入ったのがわかった。
「っ!」
恵くんの力んだ指が、私の耳を塞ぐ。その瞬間、キスの音がはっきりと脳内に響いてきて、一気に体が熱くなったのがわかった。彼の舌がぐいっと中に押し入ってくる。くちゅり、音がまた頭の中に響いた。深く絡み合うようなキスに体の芯がじわりと熱くなる。
しばらくして、唇が冷たい空気に触れた頃には、完全に息が上がってしまっていた。
「扉、開いたな。ナマエ、大丈夫か?」
脚の力が抜けてしまい、座り込んでしまいそうなところを恵くんが抱き止める。
「……やりすぎ」
彼の胸によりかかりながら、やっとの思いでそう呟く。
「悪い」
背に回された手に力が入るのを感じながら、少し早くなった彼の鼓動に胸がじわりと熱くなったのだった。




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