美人 前編

 鈴村萌はたいそう美しい娘だった。
 小さな頭に小さな顔。細い首筋にほっそりとした肩。
 長い手足に細く高い位置にある腰、そして形の良いバスト。
 声はまるで鈴を転がしたような優美な旋律。
 大きな黒い瞳は長い睫に縁取られ、小さな鼻に小さな形の良い桃色の唇。
 頬にちょんと一つついたほくろが印象的であり、黒く長い髪はさらりと流れて白い肌に良く似合った。
 性格と言えば、その容姿に似合わず少し控えめな、そのギャップに驚き、中にはそれが良いという者までいた。
 そんな彼女だが、人にはあまり言えない秘密があった。
 普段の彼女からは想像もつかない、重大な秘密が。
 そして今日も彼女は虎視眈々と獲物を狙いに友人の家に訪問していた。自分好みの、淫獣を探しに。
 友人宅の玄関にて、誘われるがまま家へと上がり込む。
「さ、萌ちゃん入って」
「あら、お友達連れてきたの?」
「うん。クラスの友達なんだ。すっごく可愛いでしょ?」
「……え、ええ……」
「……? お母さん? どうかした?」
「え? あ、ごめんなさい。いらっしゃい」
「お邪魔します」
 一呼吸置いて、萌に微笑みかけるその母を見た時。萌は一人ほくそ笑んだ。
 ああ、この人“そう”なんだ。
「ね、沙紀のお母さんって美人ね」
「へ? そう?」
 沙紀の部屋へ入るなり、そう萌は切り出した。
「うん。素敵だと思う。ね、名前はなんて言うの?」
「あー……あんまり言いたくないんだけどー、似合わなくてさ。艶って言うの」
「つや、さんね」
 意味深げな笑みを浮かべた萌に、沙紀は首を傾げるしかなかった。
「あ、それよりも! 今度さー、彼氏と出かけるつもりなんだー」
「おとうさんは? いたよね?」
「あー、なんかゴルフ三昧でさ。なんか毎週コース回ってるみたいよ」
「へえ」
 いい機会が出来た。
 運がよければ、楽しいことが出来る。
 また顔に浮かびかけた笑みをぐっと押さえ込み、萌は出された紅茶を口に含んだ。

 後日のこと。萌は艶を残して独りで留守番していることを知り、徐に手を上げてインターホンをぎゅっと押した。
 軽快な音がして、インターホンが鳴る。少し間を置いて、艶の声が聞こえた。
「はいはい、どちらさまですか?」
「わたし、沙紀さんの友人の鈴村萌です。沙紀さん、いらっしゃいますか?」
 いないのは百も承知だ。
 そこまで言うと、マンションの玄関の扉が開いた。
 6階の部屋までエレベーターで上がると、扉を開いた艶が目に入った。
「萌さん、でしたわね? ごめんなさいね、沙紀、今日どこか出かけちゃったの。てっきり、あなただと思ったのだけれど……」
「なら、待たせてもらっても良いですか?」
「えっ」
「いえ、ダメなら……いいんですが」
 少し殊勝な顔を作って、ダメ押しを掛ける。こういう表情を浮かべれば、大体誰も自分の言うことを聞く。それを充分承知して、その表情を作る。
 そしてまた、萌から切り出した。
「あ、あの旦那さんは……? 家にいらっしゃる?」
 どうしてそんなことを聞く必要があるのか。そういう顔で、艶は萌を見た。
「しゅ、主人は今日はゴルフに行ってるわ」
「……そうですか。余計なことを聞いてすみません。それで、待たせていただけますか?」
「え、あ、それじゃあ……どうぞ」
「ありがとうございます」
 お礼を言って、戸惑いながら艶が後ろを向いた後。萌は、静かに玄関の扉の鍵を閉めた。
「紅茶で良いかしら?」
「お構いにならないで」
 台所に立つ艶の背後に、そっと近づく。
 手に何か危ないものを持っていないことを確かめて、素早く腕の中に閉じ込める。
「っ! なっ、なにっ!?」
「ふふっ。とーじこーめた」
 無理な体勢のまま、萌は自分の欲望をぶつけるかのような激しいキスを艶に仕掛けた。
「んんっ……! あっ、ふっ……!」
 何とか萌を退かそうと、艶は躍起になるがどうしても抜け出せない。それどころか、萌のキスの巧みさに熱が呼び起こされそうな自分に驚く艶だ。
 散々、口腔を犯され、銀糸を引いて唇は離れていった。
「んっ、はぁっ……なっ! なにをするの!?」
「なにって……こういうことよ」
 そう言うと、萌はスカートの上から艶の秘部に手をやった。
 ビクリッと艶が面白いほどの反応を返す。
「いやっ!」
 手を叩かれたが、萌はますます自分が興奮してくるのが分かった。
 こうでなくては、ね。面白みも無いわ。
「わたしが沙紀の、自分の娘の友達だから? それとも、旦那さんがいるから? 女だから?」
「そ、そうよ! 何をするの!? 出て行って!」
「喚かないでちょうだい。分かっているのよ、あなたがこういうことされて興奮してしまう性質だってこと。だって、あなた初めてわたしと会った時の自分の顔、想像できる? 物欲しそうな、いやらしい顔をしていったこと、知ってる?」
「そ、そんな……」
「あるわけないって? 違うでしょ? 嬉しいんでしょ? わたしに、こうしてもらえるってことが。無理矢理されるのが、本当は好きってこと」
「……そ、んな……」
「あら、だんまり? いいわ、黙りたいなら黙ってても良いわよ。ただ、黙っていることが出来れば、の話だけど」
「あ、あなたおかしいわ……!」
「あなたも、ね。……ホラ」
 艶のスカートに手を滑り込ませ、ショーツ一枚で覆われている部分を指ですっと撫でる。
「あら、もうすっかりここは悦いって言ってるみたいね。すっごく濡れてて……熱いわ」
 勝ち誇ったように、萌が言う。
「ああ……! そんなこと……」
 もう、陥落したも同然の様子に隠すことなく、笑みを浮かべる。
「さ、始めましょう」
「は、はじめるって……」
「わたしから言わせるの? ……いいわ、言ってあげる。あなたとイイコトをするの」
 そう言って、また口づける。
 奥に引っ込んでいる舌を引き出して、自分のそれと絡ませる。じっくりと、時間を掛けて。
 もうそうなると、艶は今までの抵抗など忘れてしまったかのように、萌の口づけに溺れた。
「素直な、良い子ね」
 そしてその口で、艶の首筋を舐め上げる。ふるり、と艶の体が震えた。
 着ていたシャツのボタンを、キスと共にどんどんと外してゆく。
 中から、豊満な柔丘が顔を出し、上にはちょん、とピンク色を果実が顔を出す。
 そこをねっとりと舐め上げ、実を口に含み転がして、もう片方の手でショーツの隙間から秘所をゆっくりと辿る。
 もうそこは既に花蜜にまみれ、女の一番感じる部分を、くり、と押して刺激を与える。すると、艶の体が跳ねた。
「もう感じてるの?」
「あ、いや、いや……」
「嫌では、無いでしょ……?」
 耳元で囁き、殆ど腰の立たない状態の艶を半分引きずるようにしてソファへと倒れこむ。
 ブラジャーを取り、スカートも脱がせ、もう残るは布切れ一枚。
「いい格好ね。あなたにお似合いだわ」
「っ……!」
 羞恥に顔を赤らませ、黙ってしまった艶に黙って微笑むと最後の一枚を、そっと脱がせた。
 そこはもう、花蜜でテラテラと光り、物欲しそうな顔を覗かせていた。
「こんなに濡らして……いやらしいアソコね」
 指で、いたずらに弄るようにして蜜を広がしてゆく。
 そして、こういう時の常套句を言葉に乗せた。
「あなたのこんな淫らな姿、沙紀が見たらどう思うかしらね? あなたの旦那さまはどんな反応するのかしら?」
「い、いやっ……! そんなこと……あ、ああ、もうっ……!」
「そうね、淫乱なあなたのことだもの」
 蜜がたっぷりと絡んだ指を、女の谷間にずぶり、と差し込む。
「ああっ……!」
 もうそこは恥ずかしい液で溢れ、出し挿れがすでに容易なまでに熟れていた。
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