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RX-7 FD3S
ロータリーエンジンの供給が出来なくなって生産停止になったこの車は、スポーツカーに興味が無い人でも一目見ればその曲線美に目を奪われるであろう車だ。スポーツカーとしてもその実力は申し分なく、走りが好きなツウも好んで手に入れようとする。


あ、やばい。


お客様の車だけど…正直な所ロータリーサウンドも響かせたい…ちょっとアクセルを踏んでその音が聞けるなら……ああ、うずうずしてしまう…
いや、私のコルベットも遜色ない走りが出来る自慢の車だ。我慢だ我慢……

私の中でちょっとした誘惑が出てきたけども、なんとか目的の喫茶店、ポアロに着くことが出来た。


「いらっしゃいませ…あ、真依さん、わざわざありがとうございました」

「…いえ。車は今手前に停めてあります。で、請求書とキーです。やっぱり良い車ですね。乗るとよく分かりますよ」

「そう言われると嬉しいですね。もし良かったらお昼も過ぎているので、食べていきませんか?」


お礼も兼ねて、僕の奢りで。

相変わらず人当たりが良さそうな笑顔を向けてきた安室さん。お腹も程々に空いていた為お言葉に甘えて席に着くことにした。