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『最近、各地でうちの構成員が何人か殺られてるみたいなのよ。日本も例外ではないわ』


「…へぇ、故意的に何者かに狙われてるんですか?」


『それを貴方に調べてほしいのよ、バーボン』


「何か、特徴はあるんですか?」


『指輪をしているそうよ、ジェットが埋め込まれている』


「ジェット…」


『そして、死体の額には必ずジェットを埋め込むそうよ』



先日のベルモットとの対話で出てきた謎の組織。
久しぶりの登庁により話を聞くとやはり何件か類似の死体があったらしい。
組織の名前は“ジェット”
指輪についている宝石と同じらしい。情報がある程度回っているという事はそこまで大きな勢力もなく、古くからの組織でもない。あとは組織の頭が分かれば一気に刈り取るだけだ。


「風見、先日俺が潜入した先の話だが…分かったか?」

「明確には未だ掴めておりませんが、日本の大企業上位100の中だとは確信しています」

「多いな…。30までに絞ったらまた報告しろ」

「畏まりました」

「現状、俺も今いくつかツテはあるんでな、探ってみることにする」

「鈴木財閥の令嬢と、yapooの奥田社長の令嬢ですか」

「…どっちも申し分ない程日本の経済には関わっている。そこから横に探れるようなら広げてみるさ。可能性として、“ジェット”も関わっていても可笑しくはないだろう。金のパイプがあればテロでも何でも起こせるからな。早急に調べてくれ」


鈴木財閥の令嬢…園子さんの場合は何度か関わりがある為に正直可能性は低い。
後者…奥田社長の令嬢の方がまだ調べようがある。園子さんの家と昔から交流があるのなら家柄としては随分階級は良いだろう。だが、大企業の娘にして何故整備士をしているかも理由はまだ分かっていない。

…推測の段階で思考を広げるのは利己的ではない。
彼女と以前から予定を立てているドライブについてメールを送ることにした。