1つしか違わないとはいえど、安室さんがベビーフェイスだったのは私の心には少なからずダメージがかかった。女としても何かが欠けてる気がしてきた…。
「でも真依さんも素敵じゃないですか」
「足りないのがあるならば真依姉、恋よ!」
JK達の言葉に恋かぁ…と考えさせられる。というかこの話はお終いにしたはず…!
「大丈夫、真依さんは十分素敵です。今日はいつもの仕事着と違うからギャップがあるし」
「安室さん…、 今度修理代割り引きます…!」
「それは助かります!」
またお邪魔します、と満面の笑みで安室さんが言う。あれ、もしかしてもう傷ついてる…?少し不安がるとそれが表情に出ていたのか、「まだ大丈夫です」と返される。
「では、真依さん。連絡先を登録しますから、携帯を貸してください」
「あ、分かりました」
安室さんにスマホを渡してサンドイッチを頬張る。うん、やっぱり美味しい。私よりきっとこの人は料理が上手なんだろうなーとふと思った。あれ?私安室さんに勝てるところなさそう…。
「出来ましたよ」と言われ受け取ると何故かメールが1通入っていて、読んでみると
“次の休みはいつですか?
予定を合わせるので ドライブに行きましょう”
目の前の人からのメールで、反射的に無意識に彼の顔を見る。いつもの柔和な笑みで見返され、ハッとして手帳を確認する。
“来週の木曜が休みです”
入力していると蘭ちゃんと園子ちゃんが笑いだす。
「真依姉、声に出てるから!」
「えっ嘘!いいの、とりあえず送ったから!」
「はい、来ましたよ」
なんだか色々恥ずかしくなってしまって、残りの珈琲を飲みほして、もう用は済んだから帰るよ!と声をかける。JK2人もそろそろ行こうか、と席を立ったので伝票を預かる。
蘭ちゃんも遠慮するし、別にいいのにと園子ちゃんにも言われるが、また一緒に遊んでね、と言うと2人とも笑顔で頷いてくれた。
「真依さん、来週はちゃんとお洒落していくんですよね?」
「ん?何で?」
「真依姉、デートでしょ!そんなボーイッシュな服じゃ駄目だからね!」
「でも、私の私服って全部こんな感じだよ?」
「真依さん、今から時間ある!?服買いに行きましょ!」
だってただのドライブだよ?というと「それでも!!」と若い力に押し切られてしまった。泣く泣く承諾し、安室さんに会計をお願いする。
「では、また連絡します」
「はい。真依さん、また来週お願いします」
服装も、楽しみにしていますね。
満面の笑みの安室さんに見送られてアポロを出る。とりあえず蘭ちゃんと園子ちゃんを車に乗せて、街へ行くことにした。