01




精神が崩れたルフィの元に立ちふさがる海兵を斬りふせながら突き進む。死なせるものか、やらせてなるものか。
するとその途中、具合が悪そうな白ひげに会い、目が合った瞬間ぴりぴりする怒気に包まれ、全身の毛が逆立った。自分の怒気が小さいと錯覚するような迫力。
そのままこちらを向き、がっと胸ぐらを捕まれて、


『えっ、ちょ、なにを!』


海側の方へ思いっきり投げられる。
叩きつけられてお陀仏になってしまうかもとか思っていたら、さらさらした感触がして、瞑っていた目を開けるとクロコダイルが受けとめてくれていた。 てことは結構後ろに飛ばされたんだと思う。 しかし、なぜそんなことをする必要がある?
その理由はすぐわかった、いや、知ることになった。
ジンベエさんがルフィを抱えて逃げ、それを追う赤イヌ。
そんな赤イヌを殴り付けた白ひげだが、顔の半分をマグマに持っていかれて、その様子にあちこちから悲鳴が上がった。
しかし、顔の半分持っていかれてくたばるかと思いきや赤イヌを殴り、さらに地面を真っ二つにして海賊と海兵を分けてみせる白ひげ。


「完全に親父と隔離されちまった!」

「広場が真っ二つに裂けた!海賊たちが向こう岸に!」


それが意味するのは、言わずとも分かる。 誰もが彼が何をしたいのか分かっている。分かりたくないことだけど。
自分を犠牲に親父と慕う息子たちを逃がすためにこんなことをしたということ。
撤退せよと告げる白ひげの言葉に苦悩しながら涙しながら、それでも彼の望むことを、最期の命令を実行するべく、クルーの面々は撤退準備に取りかかる。


『で、そろそろ下ろしてくれない?』

「下ろしてちょろちょろされたら邪魔だ。」

『え、いや…、』


そんな邪魔になるようなことは…しないとは言い切れない。
クロコダイルとそんな会話をしていると、突如海軍本部の要塞から声がした。


「黒ひげ海賊団!?」

「ゼハハハハハ!久しいな!死に目に会えそうでよかったぜオヤジィ!」


黒ひげ海賊団に新たなメンバーが加わったらしい、そのメンバーとはインペルダウンlevel6の囚人たち。
つまり、凶悪な奴等に凶悪な奴等が加わったそうだ。
分かりやすいだろう? 彼らがインペルダウンに来たのはこのごたごたに混じって手札を増やすことが目的だったというわけ。


「ティーチ!てめェだけは息子とは呼べねぇな!おれの船のたった一つの鉄のルールを破り、お前は仲間を殺した。4番隊長サッチの無念!!このバカの命をとって、おれがケジメをつける!!手ェ出すんじゃねェぞマルコ!!」

「サッチも死んだが、エースも死んだなァ、オヤジ!おれはあんたを心より尊敬し、憧れたが、あんたは老いた!処刑されゆく部下の一人も救えねェ程にな!バナロ島じゃおれはエースを殺さずにおいてやったのによォ!!」


そう言った黒ひげはブラックホールと言って手をかざして闇を作り出す。
これといい、ルフィのときといい、見た感じあれで能力が無効化されているのか。
しかしそんな能力がなくても白ひげは強く、斧で黒ひげを刺して能力の無効化を解放し、黒ひげの頭を能力で地面に叩き付けた。泣いてやめてくれと懇願し出す黒ひげに手が止まる。


『…なぜ止めを刺さない。』


そんな男にすら情を覚えたというなら、衰えたというのも頷けてしまうし、満身創痍だというのにも頷ける。


「この怪物がァ…!死に損ないのクセに!黙って死にやがらねェ…やっちまえェ!!」


その合図とともに一味総出で白ひげを蜂の巣にしていく、その様子を見ることしかできない白ひげ海賊団。 なんて無念なことだろうか。 家族とはそれほどの存在だったのか。
銃声が止んで静寂が訪れ、白ひげはてっきり死んでしまったかと思えば、動かず、ただ、言葉を口にした。
誰もがその言葉に耳を向けている。
彼は最期に驚くべき言葉を発した。


「―――ひとつなぎ大秘宝は、実在する!!」


暗い喰らいクライマックス

(死の言葉)(誰かの生きがい)




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