04




『とか言ってたけど無理なもんは無理だこれ。』


マゼランの毒は、この監獄を浸食する勢いですべてを毒にしていった。 確か地獄の審判だったか。
浸食型の毒なのでこれはもうロウも効かないから、皆逃げるしかないので外に行ったらまだ軍艦が来てなかった、うわこれやばい。
そんなことを思っていたらイワさんが地面から出てきて、びっくりした…。


『生きてた。』

「イワさん!イナズマも!生きてたのねい!よかっだー!!」


しかしマゼランはこちらに向かってきているというまずい状況に変わりはなく、電電虫でジンベエと通信している様子をルフィを見る。


「すぐには迎えにいけんが、だが止まるな!そのまま海へ飛び出せ!全員を海へ突き落としても構わん!!その後の事はワシに任せろ!!」


そんなことを言われても、でも信じるしか、賭けるしかないわけで。


『どうする。』

「あいつはエースの友達だ!俺は信じる!言う通りにするぞ!」

『了解。』


やめろという制止の言葉を無視しながら海に飛び込むべくルフィはMr.3とイワさんに頼み込む。
どうにもこうにも、これしかないだろ。
イワさんの髪にしがみつき、ルフィの特大の蝋による壁押しでマゼランの足止めをしたところで、


「特大地獄WINK!!」


イワさんがウインクを放ち俺たちは海へ投げ出された。
そのまま海にどぼんかと思われたが、しかし、ジンベエザメの群れが受け止めてくれたおかげで無事助かったというわけだ。 こんな呼び出しまでできるなんて魚人すごいうらやましいと思う。
というわけで軍艦に無事届けてもらって皆すごく嬉しがっているのだが、舵をとっているジンベエさんはまだそういう様子ではない。


「喜ぶのはまだ先じゃ。」


正義の門というばかでかい門が開かないと俺たちは袋のネズミらしい。 いや海の上によくこんなの造ったよね。
ただ逃がすわけなどなく、追っ手からの砲撃がこちらに向かってきていたので刀ですぱりと斬ってやる。


「受けてばかりでどうする。こっちも軍艦だ。撃たねえか役立たず共…!」

「こっちからも撃つんだ野郎共ォ!」

『調子のいいことで。』

「まったくだガネ。」


こうして砲撃をやり過ごしながら正義の門に近づくと、なんと開くではないか。


『は。』

「正義の門が…開いてく!!」

『…ジンベエさん、どういうこと。』

「…。」


ルフィもどういうことなのかと問うと、ジンベエさんは重い口を開けて理由を教えてくれた。
どうやら、ボンちゃんがマゼランに成り代わり指示を出しているらしい。 いやそれってつまり、まだ監獄の中ということじゃないの? ひやりとした冷たい感覚に襲われた。
だって、こんな中残ったら、どれだけの拷問を、どれだけの地獄を、死すらあるかもしれないのに、彼はそれを一人で背負ったのだとしたら。
ジンベエさんはまだつながっている電電虫をこちらに向ける。


「おい!!聞こえてんのか!?ボンちゃん!!お前また何でこんなことすんだよ!あん時みたいによォ!」


いっしょに脱獄するんじゃなかったのかと、ルフィが呼び掛ける。


「俺、助けてもらってばっかりじゃねぇかッ!!返事してくれよボンちゃん!!」


ルフィの呼び掛けにも、皆が呼ぶ声にも返事が返ってこない。
もう門を越えてしまう。


「ボンちゃん…!!門がもう閉まる!おれ達、行くよ!ありがとう!!!」

「―――ッ、麦ちゃん!!必ずアニキ救ってこいやァー!!!」


途切れ途切れの通信にルフィは涙を流す。
ノイズと共に門がゆっくりと閉められた。


ごめんね、ごめんね。

(でも、ありがとう)




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