02




さて、お洋服が欲しいクロコダイルと共にとある部屋に来たのだが、明らかに中に兵がいる。


「どけ。」

『はい。』


彼が扉に手をつけた瞬間、一気に砂となる扉。
おみごと、スナスナの実ってとこかな。


「撃てェ!」


砂人間であるクロコダイルには弾丸が効かないが、俺にもあいにく効かないんだよね。


『零崎に銃器は無意味。』


人識みたいだが、ナイフをかまえ銃弾の雨を避けながら看守の一人の首にナイフを突き立てる。血の噴水。 向けられた銃を跳んで避けると互いに撃ち合うことになってばたばたと倒れていった。
背後の敵の頭に回し蹴りを食らわせたあと、その回転の勢いでナイフを頭に投げつける。
はい終わり。


「餓鬼にしちゃ手際がいいな。」

『お褒めの言葉どうも。』


いつのまにか服を着替えていたクロコダイルに背を向けながら棚を片っ端から開けていき、やっと見つけたものを手に取った。


『よしおまたせ。』


剣を背負い、弓矢をセットした姿で向き直り、その辺にあった誰かのシャツを腰に巻いた。 足がすーすーするから。
クロコダイルと共に部屋を出てルフィたちに合流し、続くニューカマーたちのための退路を作るべく進撃し続けた。
そういえば作戦については、どうやらここはカームベルトという海王類の巣にあるらしく、軍艦じゃないと脱出不可能ということなので、そのため数を要するために脱獄囚を増やしつつ上に昇っていく必要がある。よってこうして鍵をばらまいて上に昇っている。 現在level4到達。


「いくぞ!海軍本部ー!!」


獄卒獣を倒して進んだ先にいかにもサディスティックですな女性が鞭を持って待ち構えている。飼い主だろうか。
行くかと思っていたら後ろから追い抜かれた。


「道をお空け!エキセントリッカブル・ガール!!」

「おだまり!女になったイワンコフね!どっちつかずのアナーキスト!」

「今は女の気分ーん!」


そこを彼女…?に任せて先に進むと階段の前に看守たちが待ち構えていて、その筆頭にはハンニャバルが。 本物だ。
監獄とは不釣り合いな陽気なリズムが鳴らされ、ハンニャバルは手に持つ薙刀を振り回し始めた。


「ご存知!ハンニャカーニバル!焦熱地獄車!!」


剣先に炎が宿りこちらに向かってきたハンニャバルをルフィが殴る。
しかしすぐまた立ち向かってきて、ルフィがまた殴る。殴る。 何度も、ぼろぼろになろうと立ち向かってくる。


「……貴様ら…シャバで悪名挙げただけの”海賊”に”謀反人”…!何が兄貴を助けるだ!社会のゴミが綺麗事ぬかすな!貴様らが海に出て存在するだけで、庶民は愛する者を失う恐怖で夜も眠れない!か弱き人々にご安心頂くために、凶悪な犯罪者達を閉じ込めておく、ここは地獄の大砦!それが破れちゃこの世は恐怖のドン底じゃろうがィ!!出さんと言ったら一歩も出さん!!」

「俺はエースの命が大事だ!だから退け!」


両者一歩も引かない状況で、確かにハンニャバルの方が至極全うなこと言っているんだが、価値観が違うからどうにもできない。


「ふ、副署ちょ…!」

「な、おい、どうしたお前ら!バズーカ部隊!え?!」


背後のバズーカ部隊が蟻地獄のようなものに飲み込まれていく。 何かが、来てる。
ざわりと胸がざわつくのを感じていると、そいつは現れた。


「やめときな、正義だ悪だと口にするのは!この世のどこを探しても、答えはねェだろくだらねェ!!」


闇を従えたその男はハンニャバルを蹴りつける。


「ティーチ!貴様がなぜここにおるんじゃ!いやぁ今は黒ひげとよぶべきか!」

「――お前が黒ひげ?!」

『黒ひげ…、』


黒ひげとは、いや、会話を聞く限りどうやらルフィの兄を海軍に引き渡したのはこの男ということか。
兄さんのことを思い出す、重なる、
ああ――――、じゃあ、殺さなきゃ。
ルフィはゴム人間なのに打撃で血を出しているとかそんなのおいといて、突きの構えで狙いをしぼる。
引き寄せてみろよ斬ってやるから。 殺意を向けるとこちらに気づいたようだが、遅い。


『さよなら。』

「っ!」


首もとかっさばいたつもりがすれすれを避けられ、いや掠めたが仕留められず。 しかし思った以上の傷口になっていることが不思議だ、どういうわけだ。
彼の後ろでルフィが立ち上がってまた向かおうとしたが。


「待てルフィ君!!今はいかん!!耐えろ!!何が先だ!!」


ジンベエさんに止められた、確かに兄を救う方が先だ。


「黒ひげと言ったなァ?妙じゃねェか。海軍本部に召集を受けてるはずの貴様がなぜここにいる。自ら欲した七武海の称号をすでに捨てているといえる。」

「すべて計画のうちだ。」

「――おれは必ずエースを助ける!」

「ゼハハハ、ああ無駄だとは言わねェ。この世に不可能という事は何一つねェからな。空島はあったたろう?ひとつなぎの大秘宝もそうさ!必ず存在する!!ゼハハハハハハ!!楽しみにしてろよおめぇら!わずか数時間後おれ達が!世界中を震撼させる最高のショーを見せてやる!!」


そしてお前もだとこちらを向かれる。


『あ?』

「ゼハハハ、麦わらにはもったいねぇ悪人だな。」


いずれまた会おうぜと言葉を残し、彼らは地獄を進んでいった。 勝手にシンパシー感じられたんですけど。



存在してはいけない者同士

(あんたも俺も)(お互い様)




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