01





―――――誰だ、





何で兄さんは泣いてんの?




―――俺の兄に涙を流させたのは、彼を苦しめるモノは、すべて俺が。







両親が殺された、家が荒らされた、原因、金品消失などから盗賊によるもの。
俺、10歳、兄さん、16歳。
現代日本社会で言えばニュースやドキュメンタリーで放映されそうな事態だ。なんというか、何もする気が起きない。無気力、アパシー。
俺は兄さんと兄さんの友達の家に泊まりに行ってた、その間の犯行とされている。両親の死体は火葬された、町の人たちが協力してくれた。
血にまみれた彼らはひどく美しく笑っていたのがなんだか滑稽のような哀れのような、どう思って死んだのか。穏やかだったらいいのに。
そして閑散とした家になった、俺はあの甘ったるい愛情をもらえなくなったのがちょっとだけ寂しくなった。

俺はというと、泣かなかった、否、涙ひとつすら出てこない。だけど、別に酷い人間とは思わない。だって俺殺人鬼だから、人ではないから。
でも兄さんは違う、泣いた、泣くしかできない子供に戻ったように泣いた、だって兄さん、人だし。
兄さんはショックで三日三晩部屋で泣いている、食事をとらない、笑わない、いや笑いかけてくれるが、目が笑ってない。

どうすればいい?
大好きな身内が、兄さんが笑ってくれない、悲しんでる、どうすればいい?このままでは、と焦燥感がさすがに湧いてくる。だって身内のいない世界なんて俺死んじゃう。
どうすればいいか、と思うものの、すぐに答えは思い浮かんだ。


『………そんなの、』



――――決まっている。
身内が悲しんでる、なら俺のやるべきことはただ一つ。息苦しさを解消する、呼吸して、生きる。


『買い物、行ってくるよ兄さん。』


母さんの形見箱から一つ、物を拝借して返事のない兄さんがいる部屋の扉に一瞥くれてやり、俺は、家を出た。



すべて仕組まれた運命だった

(もういいよね、)(俺の身内を泣かせたんだ)(おもいっきり"解体<レンアイ>"してやんよ)





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