02





俺の"解体<レンアイ>"及び"呼吸"のポリシーは、身内の敵しか殺さない。



ある日人識は言った、お前は優しいけど、生きづらそうだ。
俺はこう返した、優しくない、残酷だと。
だって、そうだろう?
俺はただの臆病者なんだよ、身内の敵は自分の敵だなんて聞こえはいいけど実際は身内を盾にして生きているだけだ。平気でその他大勢は殺してみせる。世間一般論で言えば残酷非道と言わずして何という。
敵を殺して俺は生き永らえて、敵の身内が恨むのは俺、さらに延長すると俺の身内ってことも零崎あるある。
結局俺は生きたいが為に誰かを犠牲にしてる最低野郎なんだ。
そしてまた人識は言った、馬鹿だな、と。
俺はそうだな、と笑うしかなかった。

そんなある日の会話を思い出しながら、眼前に群れる奴らを目にとらえた。



『ねー、おじさん、何で殺したの?』

「は?」

「っ、いつの間に…!」

『いつ来たかなんて別にどうだっていいだろう、何で殺したの?って聞いてるわけ。俺の質問が先だよね。』

「てめーには関係な、

「教えてやるぜ小僧。」

か、頭!!」


町から離れた林の奥、標的の盗賊について聞き込みをして辿り着いた。
下卑た笑いを浮かべる奴等を見れば見るほど殺人衝動が心を侵食していく。
まったく、優越感に浸る弱者から動機など聞き出すのは容易いことだとつくづく思うし、無駄な労力かもとも思う。しかし、敵の身内も知らねばそいつを殺せない。


「金さ!いつもなら別にあいつらを殺さなくてもよかったがな。あいつが来て、あいつらを殺せば盗んだ金品は勿論、それに見合った報酬を寄越すだなんて取引を持ちかけてきやがった!そりゃ乗らねえわけにはいかないだろう?」

『(あいつ?)……。』

「てめー、餓鬼一人かぁ?」

『…だったら?』

「はははっ笑わせてくれるぜ!早くお家に帰ったらどうでちゅか〜?」


げらげらと笑い声が辺りを支配する。
嘆息一つ、空気に吐き出した。ああやっぱり無駄な労力なのかも。




『―――うざいな、』




「っ、ぎゃああああああああああ!!」

「て、てめえ何しやがんだクソガキ!!」

『何って…目を銃でぶち抜いただけなんだけど、悪い?お前らだって同じことしたじゃん。』

「…ひっ、ぁ、同じこ、と……?」

『そ。お前らが殺したの、俺の両親なんだよね。
でもそこは問題じゃない、お前らがしたことで一番許されないのは、俺の兄を、泣かせたこと。』

「は、ははっ、復讐ってか?」

『復讐?違う、俺は酸素豊かな緑地に息を吸いにきただけ。』

「こきゅう、だと?」

『まぁ要するに、死んでくれとでも言えばいいかな。』

「そ、そんな、俺たちは盗賊だぞ!奪うのが当たり前なんだろーが!それで死ねとは随分現実が見えねーようだな!」

『確かに生きるためなら仕方がないよ、それは筋が通っていて正しい主張。だから今お前らが死ぬのは、ただ、運が悪かっただけ。うっかり地雷を踏んでしまったということ。雇われたにせよ何にせよ、俺の兄さんを泣かせたのがお前らの罪。』

「ふ、ふざけんなアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


頭が叫んだ瞬間、一斉に刀やら何やら持って襲いかかってくる。


『俺の唯一の身内の兄さんを泣かせたんだ、"出血大サービス"のとびっきりをお見舞いするのも悪くない。


――――零崎を開戦する。』


純粋な零崎の殺気が、狂気の渦が、ドロリ、と溢れだした。


正義の名のもとの破壊

(畏れろ)(戦け)(出血大サービス、なんてね)





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