05




無心でまるで呼吸をするのと同じくらい自然に人を斬りながら道を進めていくと、どうにも自分がいる海賊団の人たちは甘いというか生ぬるいというか優しいというか中途半端というか。
まるで俺が残酷で残忍勝つ凶悪ということが悪目立ちする状況だと思う。人を殺したか殺してないかより傷つけたか傷つけてないかのが結果左右されることだろう。そんな自論は通じないだろうけど。
まぁそんな些末なことはおいといて、迎えに来てくれたハンサムになった彼らのもとへ足を急ごうか。
しかし駆け出そうとしたら、


「おい!諦めてねェからな!」

『…ご自由に。』


去り際にチューリップくんに声をかけられた。
いやまったく物好きなやつがいるものだ。


「えー!!海賊王の船にー!?」

「ああ、副船長をやっていた。シルバーズ・レイリーだ、よろしくな。」


皆無事逃げてきて、まさかのおじいさんの正体に衝撃を受けている。さらに、海賊王は不治の病だったとか自首したとか明らかになる衝撃の事実。
本や書物には捕まった風に書かれていたけどそんなことがあったとは、やっぱり情報は鵜呑みすべきもんじゃないと思いながらいただいた牛乳を飲む。
カルシウムとらないと身長大きくならないから!
また、シャンクスとかいう人はルフィのゆかりの人らしく…?シャンクスって赤髪の?


『えっ、四皇と知り合い?』

「ルフィに麦わら帽子を預けているのよ。」


それは超レアな帽子なのでは…、こうして昔話に花を咲かせるのだが本題は違うわけで。
今回は船を深海に進めるようにするコーティングを頼みに来たのだから追われてる身としては早速取りかかってもらいたい。しかしコーティングには3日かかるので、海軍がうようよいるこの島をサバイバルしなけらばならないのだ。
レイリーさんのビブルカードを皆もらっていざその辺ぶらぶらと行こうとするが、


「君、ちょっと待ってくれ。」

『え?俺?』

「ああ、君だ。」


レイリーさんに呼び止められ、他の皆に先に行ってもらうことにしてお店の中に再び連れていかれる。
俺何か忘れ物したかなと思っていると、急に顔を片手でむいと捕まれる。


『えっ、え、』

「ふむ、やはり若者のする顔つきではないな。それにルフィ君達のような者達と好んでいっしょにいるタイプではなさそうだ。」

『あー…まぁ確かに。身を置いてるだけだし。』

「何、君に少し興味があってね。先程君は覇気を使っていたな。」


もう一度やってみてくれ、と言われたが覇気ではなく俺は身に覚えがない。
あれは覇気ではない、殺意だ。零崎たらしめようとする本能だ。
説明するなら、単純に殺意を剣に集中してまとわせただけで、別に殺すことは息を吸うことと同じくらい簡単だから難しくはないのだ。
刀を手にして構えて見せるとこちらに近寄ってきた。


「これは…、確かに武装色の覇気ではないがまぁ有効だろう。君だけか、覇気を使えるのは。」

『これがそれなのかは分からないけど、こういうのは俺だけだよおそらく。』


ふむ、と考え込むそぶりを見せたかと思ったが、結局分かった、ありがとうと言ったレイリーさんと別れた。


グレーゾーン

(俺はどうなってんだ)



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