06




何かの嘶き声が、聞こえた。
それと共に建物が崩されていく。


「バタバタと叩き落とされやがって!!蚊やハエじゃねェんだぞ!!トビウオライダーズ!!」


そう言って現れた巨大な男とバイソン、ヘッドはトビウオじゃないんですね。自分のアジトを壊したり魚人や人魚に用なし発言したり麦わらの一味さえ殺せればいい発言をしたりと、どうやらなにか訳ありのようだ。しかも視線は船の方を見て、とある誰かを殺すなどと言っている。
まぁ俺ではないことは確実だ、なぜなら存在自体知られていないからね。
そんなひどくご立腹な彼が殺したいのは、


「海賊"黒足のサンジ"!!会いたがったぬらべっちゃ…!」


だそうな、っていうか何なのその訛りは、怒りで訛るって聞いたことないから。どうやら最近恨まれたらしいコック、迷惑をかけるな発言をした船医に激しく同意だ。
ガトリングのようにこちらに発射された銛を刀で弾きながら見据える、ああ埒があかないと溜め息を吐きたくなった。
ここでありがたいことに行動を起こしてくれた船長、あの鉄仮面を蹴りで吹き飛ばしてくれた、やっと猛攻から解放される。
さぁ、素顔はいかに、みたいな。
驚きの声を上げる一味の方々…いや正直事情は把握していないんだが顔が…。赤裸々と最近の出来事を語り出す鉄仮面さん、…まぁ同情はしてやるよ、うん。


『劣化版、コック…ってか。』


ぼそりと呟いた言葉は彼の悲痛な叫びに掻き消された。


「オラが一体何をすた?!オラの人生を返せェ〜!!」

「知るかァアアア!!!」


コックの渾身の一蹴りが彼の頬にクリーンヒットした、ドンマイとしか言いようがないっていうか本当、何だこれ。


「何が知るかだァ!おめェ以外に誰がこぬ責任さ取るぬらー!」

「うるせー!あの手配書に頭キてんのはおれの方なんだよ!」

『手配書があれって(笑)』

「何笑ってんだてめェ!おろすぞ!」

「びっくりした〜…世界って広いわ…。」

「サンジの奴、奇跡の星の下に生まれてきたんじゃねェだろうか。」

「いつの日かすごく面白い最期を遂げそうね。」

『…なかなかえげつないねあんた。』

「あらそうかしら。」

『そうだと思うよ。』


というわけで偶然の出来事だがどうやらコックのせいになったらしく二人でわーわー話している。
俺はそれを小耳に挟みながら刀を布で拭いていた、ほら、毒ついちゃったから。
するといつの間にか超展開、なんと鉄の網で水中に引きずり込まれたコック。助けに行ってやりたいのは山々だが泳げない俺が行っても足手まといなのは分かりきっているのでここは黙っておこう。


「大丈夫だよ!」

「ケイミー!?」

『え!』


海へ飛び込んでいった人魚のケイミー。


「おうカウボーイ、おめェ…一人存在を忘れていたな…。確かにトビウオは魚人よりも速ェ魚だ。海中でトップクラス!?大したもんだ。
―――だが、そのトップクラスの頂点に立つ種族こそが人魚!」


なるほど。それならば一任するしかないだろうね。
しかしそんな安堵も束の間、海中から突如出現したのは巨大船の錨だ。それが船の真上にセットされていく。こっちの命が危ない。


「コリャまずい!一発で沈んじまうぞ!」

「避けよう、バーストかパドルだ、間に合うか!?」

「いや遅ェ!!」

『バースト?パドル?』

「船のチャンネルのことよ。」

『へー。』

「何でお前らはそんな冷静なんだよ!」


何でって言われてもどうしようもないんだよと思っていると、どうやら秘密兵器があるらしい。なんと船首のたてがみが回り始めて、バックした。


『おおおお、すごいな…!』

「避けただけで終わると思うな!」


その言葉通り、今度は船首の口が開いて砲台が出現したのだ。いい加減某びっくりどっきりメカかと言いたくなってきたぐらい。


「ガオン砲!!」


そして、凄まじい勢いの衝撃波が建物もろともトビウオを吹き飛ばした。なんて威力、破壊力。
あまりのすごさに船長が目を輝かしながら涙を流しているのが見えたが、別にそこまでの感動は覚えていない。
とりあえずちょうど浮上してきた鼻血を出している下心丸見えなコックに冷たい視線を浴びせるだけにしておこうかな。
ご立腹なヘッドはモトバロという名のバイソンに跨がって船長に突進していった。
どう考えてもあのツノのリーチじゃ無理だと思うんだけど。


「人呼んで"心臓破りのツノ"、行けモトバロー!」

「ルフィ危ねー!」


船長への心配は杞憂に終わり、俺の予想通り角などもはや意味をなさないまま頭で激突した。
だって、明らかに短いでしょ。


「お前とは戦うだけムダだ。」

『――!』

「…牛の様子が変だな。」


そのまま泡を吹いて気絶してしまったバイソン。
今のは覇気だ。本で読んだことがあるぐらいだけど。あれは確か覇王色だったか、覇王色って…本当ただ者じゃないね、我らが船長は。
何もしてないと言っているってことはどうやらこの一味は覇気を知らないらしい、そんな状態で新世界生きていけるわけない。新世界にはごろごろいるらしい。いや俺も本で読んだことしかないからいまいちよく分かってないけど。


『(―――新世界行くまでに習得する機会があればいいけど、)』

「何かを発した訳でもなく…今ルフィがあの牛を威圧した様に見えたわね…。」

「何だそれ、迫力勝ちみてェなもんか?あのデケェのが気絶したんだぞ?」

「あんのかそんな事。」


一方向こうでは無事生還を果たしたコック。
怒りを露にした鉄仮面の言葉を相手取りながら着実に距離を詰め、そして顔を中心に蹴りをいれていく姿はまさしく鬼だ。鬼畜過ぎて思わずぞっとするよ、痛そう。助けないけど。


ピント合わせ

(どうなるかはお楽しみってことで。)




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