01
――――ゴポリ、
温かい、液体の中らしい。
確か想影真心って奴に心臓ズブリと一突きされて、……………それで?
あれ、俺死んだはずじゃないか、何で生きている、いや生きているのか分からない状態なんだが。
あぁもしかしてこれが死んだ世界っていうやつかな、だとしたら退屈しかなさそうな世界だ、しかも狭い、窮屈。
殺人鬼にとっては苦痛もいいとこ、<呼吸>も<解体>も出来ねぇなんてまるで拷問みたいだ。世界は無情過ぎるなんて他人事のように思ってみる。
いや、これじゃ世界より空間と言った方が正しいだろう、まぁ今となってはどうでもいいんだけど。
ため息吐きたいのに吐けないし真っ暗だし、やだな、怖いな。
そう思って半ば当て付けのような気もするが八つ当たりということで閉じ込めている壁を蹴りつけてみる。弾力。
あれ、柔らかい。
「あら、今お腹蹴ったわよ?」
「本当かい?じゃあ元気な男の子かな、それともお転婆な女の子もいいな…!」
「ふふふ、私たちの子供だもの、元気であればいいじゃない。たくさん愛して愛して愛して、愛情を注いであげるの。」
「……そうだね、まずは元気に生まれてきてほしいよ。」
嗚呼、理解してしまった。
知りたくない聞きたくない、事実、真実、覆すことなどできない。
俺は、また生を授かったということか。
今の声の持ち主だって知らない、誰か分からない奴らが自分の親と考えると吐き気がしたが、ああ……………もう面倒くさい、何にせよ身内がいない世界とか。
そんなことを認めてしまえば自分の中から家賊や皆が消えそうで嫌なんだ。
闇闇シニシズム
(どうしようもないってのは分かっているんだけど。)(この世界で、俺の身内は、)(いない)
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