02
『あっ、が、…っあぁぐっ…!』
「死にたくねぇなら妙な真似はしねぇことだな!ジハハハハハハ!!」
遡ること約30分前――、俺は武器庫の上に来ていた。
先程建物全体にサイレンが響き渡ったから多分脱走がバレたのだろう。
そんな事態の中、自分の武器をこの広大な武器庫から見つけ出すというのは些か賭けに近いがやるしかないというのも事実。
しかも、ここに俺の武器あるかってことさえ確かではないし。
天井の金網の一つをゆっくりずらして武器庫に降り立つ、……誰もいない?
全く人の気配がしないというのもなんか不気味だが探すしかない。いや、むしろ、なんだこの違和感。
数歩、歩き出した途端、
『っ、罠か…!』
急に剣が何本も飛んできて、それをなんとか体を捻って避ける。
こんなことするなら確かに見張りいない方がいいに違いない。
しかしまあ、こんな攻撃が来るということは近くにシキがいてしかも見つかっているわけだ。ここから脱出出来るが武器を見つけていないのに体一つというのは厳しい。
結果、大人しく捕まった。捕まらざるを得なかった。
「逃げ出すなんてひでぇじゃねぇか小僧。」
『………不自由だったからムカついた、ってか何で鼻にティッシュつめてんの。』
「………………まあ、いろいろあったんだ。」
『あ、そう。』
イラッとしたのでシキに態度で反論する。
ついでに疑問もぶつけたら変な間を空けて曖昧な返事、まあどうでもいいんだが。
どっこいしょ、と言いながらある程度拘束された俺に近づく、よくよく見ると脚の刀は名刀と言えるような凄みのある刀だった。
「さて、ちぃーっとばかし灸を据えてやらんとな。」
『うわっ、寒っ。』
ひょいと小脇に抱えられ外に連れられた、にゃあってか。
外は真冬、極寒。吹雪ヤバいんだけど、シャツ一枚は凍え死ぬから!
抱えられているとなんとなくだがシキは怒っていることがわかり下手に刺激出来ず、自然と無言。油注ぐほど馬鹿じゃない。
シキの刀がザクザクと音をたてて進むと、建物が何か変な木で覆われていることが分かった、変な匂いまでする。
そしていつの間にかシキはガスマスク着けてた、ちょ、何それ。
ガシッと首を捕まれ息苦しさを感じていると、
『あ、っ…!』
「俺は裏切り者に容赦はしねぇ質だ、今回は特別に多目に見てやるが次はねぇと思えよ…?」
『い、っ…あ、がああっあ!…あっぐ、っ…はっ…!』
息苦しさと共に体が何かに侵食されていくような激痛が上乗せされて吼える。
ただ木に押さえつけられているだけなのに。
体が動かない、痛い痛い痛い痛い。
少しばかりの抵抗で首を掴む金獅子の手首に爪をたててみても無意味で苦しさは解消されず。
次第にぼんやりと薄れていく意識の中で、毒素がある木に囲まれて何してんだよと思った。
碧に乞う赦し
(さて、計略の海への計画を進める。)("東の海"へ、)
(物語は加速し始めた。)
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