03





どのくらいの時間が経っただろうか。


『げほっ、…あ、がっ…はっ…、』

「はっ、……は、…手負いながらなかなかじゃねぇか…!」


ヤバい、な。
ちょっと血を流しすぎたせいか正直視界がボヤけていて膝もがくがくしている。
やはり脚ばかり狙われているためスピードが落ちてばかりいて、金獅子に傷をつけても致命傷には至らない。
しかもどうやらこの野郎、能力者だったらしく浮いてひょいひょい避けるので体力まで無理な跳躍よりかなり体力まで削られた。
さらに覇気を使うにもまだよく使いこなせていないのに対して相手も強いわけだからあまり効力ないわけだし…調子に乗った結果これだ。


「だが…、勝負はあった、俺の勝ちだ。」

『チッ、』


周りをまたでかい岩石で囲まれる、これを避けたり壊したりするだけでも脚に負担となっているわけだ。
自然と舌打ちが溢れた。


「てめえには俺んとこの戦闘員として来てもらう、心残りはあるか?」

『特に、ないな……。』


どさりと腰を下ろして徐々に呼吸を整える。
ちょっと疲れた。


「随分と潔いじゃねぇか、そういうとこも好きだぜぇ?」

『あんたに好かれても嬉しくない。』

「…本当にいいのか?」

『……別に、唯一の存在はもういない、ついさっき、殺された。……いや、別にお前らの実験とやらじゃないんだけど。』

「あの丘のひっでえ惨劇も関連してるってか?」

『見たのか…、とりあえず、俺の身内をあだなす奴や、殺した奴は皆殺しってな。』

「…肝に命じておこう。ま、身内はもういねえとなりゃ関係ねーだろうけどな。
しかし、兄貴が殺されたってのにてめぇは泣いたりはしねぇのか?」

『お前は何でもかんでも質問してくるとか…暇人なわけ?しかも泣くとか関係ないだろう。』

「いいじゃねぇか、俺の仲間になる奴のことなんだからよ。」

『………………殺人鬼が今更泣けとでも、言っておくが、俺は殺人に罪悪感を感じない人間だ、人を殺すってのは"呼吸"に等しいんだよ。身内を殺されたらブチ切れるけど、悲しさは特にない。』

「おー…、怖ぇ怖ぇ。」

『…さて、これ以上お前に詮索される筋合いもないね。』

「最後に、」

『まだあんのか。』

「てめえの名前は?」

『(名前、ねぇ…)』

「呼び名がなきゃ不便だろう?」

『―――"世界最憎"、嘉識。』

「…、それじゃあ来てもらうとしよう。」


瞬間、首筋に衝撃、意識がぶっ飛んだ。



思わせぶりな言葉で誘惑して

(一体俺は、)(どうしたらいいのさ)






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