02





齢十四、まだ幼き子が、鬼気を帯びている血染めの姿が、金獅子の眼に写った。


『……意味不明。』


どうやら俺は若干といえど炎がトラウマになったらしい。


気づいたのは町に入ってから、とりあえず兄さんが大切にしていた人たち、まあつまり島民を避難させつつもでかい動物たちと戦っていた時。
なんか町の炎が兄さんが死んだ時の館の炎と被って、一瞬戸惑いが生じたりする。
そんでちょっと隙が出来たわけで脚を角でぐさりとやられました、ムカつく。
それが何回かあったから漸く今さっき気づいた、俺炎ダメだって。
まぁスピード的には下がっているが、動物たちに殺られるような弱点じゃないんで結果オーライだろう。
なんて自己完結。
つまり動物たちは無駄に強いが敵じゃないってことだ、大丈夫だ、無問題。

あらかた島民を避難させることが出来て、もうちょいかな、と思っていたら、


『っ、』

「ジハハ……やるじゃねぇか小僧。」


背後に殺気――――、気づいたが、遅かった。

瞬時に背中が斬られる感覚、いや実際斬られたんだがなんとかよろめいた体を倒さずに踏ん張る。
どうやら傷と炎で感覚が鈍くなっていたらしいが……、それにしても自慢じゃないが気配を読み取るのが得意な俺が、気づくのが遅かったというのはこの男は並大抵ではないのは確かだ。決して俺の自慢ではない。
さて、そもそも、どこから現れた?


「驚いたぜ、まさかこんなに素晴らしい戦闘能力を持つ餓鬼がいたなんてなぁ。」

『はっ、…っ…何が目的だ。』

「んん?おいそれとは言えねえよ……、ただし、お前が俺の仲間になると言うならば考えてやってもいい。」

『誰が海賊にっ…!』

「じゃあここで島民諸とも死ぬか?」

『―――、』


正直、俺は死ぬことに対してはどうでもいいが、兄さんは何て言うだろう……、


――――海賊、


海賊になるのは素直に頷けない、あくまでもそれは世の中一般的に悪者に属するということで、それは世渡りする上で動きづらくなる。
しかしこのまま死ぬのは御免だ。
――だったら?

だったら、俺が取るべき道は、決まってんだろ。


『………仲間には、なりたくない、』

「ほう、」

『だが、俺は死ぬわけにはいかない。』

「つまり何だ。」

『簡単な話だ、




―――今、お前をここで壊せばいいだろ。』


シンプルでいいじゃん?とどこか挑戦的な笑みを浮かべて言う。


「ジハハハハハ!!面白い!そう言われちゃァ、無理やりにでも連れて行ってやる!!」


もっと挑戦的な笑みを浮かべて言った、金獅子。
相手が誰であろうと、"破壊世界"はただ壊すのみ。
身内にあだなす者は皆殺し。
今はもう身内はいないけど、らしくもないが身内の大切な物まで護ってやるのも悪くない、なんて、戯言だけど。



でっちあげヒーロー

(即興的な正義のヒーロー)(破壊衝動に従うまで)





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