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『えっ、でか。』


思わず本音がぽろり。
それはそうだ、あのロボが島中と一体化してもう頭は天まで届く勢いである。何十メートルどころじゃなさそうだ。これをさっきみたいに全部壊してと言うほど非効率なことに勤しむようなことはさすがにしない。
要所一つ一つ壊していくしかないなと思いながら走り続けていたら向こう側で炎と煙がぶつかり合っているのが見える。こんな時に何事か。
しばらく走り続けると徐々に人影たちが見えてきて、その中にトラファルガーもいた。


『何してんの。』

「嘉識ではないか!ルフィはどこじゃ!」

『わ、ハンコックなんでこんなとこに…ごめん一緒じゃない。』

「なんじゃと!?」

『後で会わせるから勘弁。で、これは何の集まりなわけ。あいつを殺る気がないなら俺は失礼するけど。』

「いや、それを提案しているところだ。」

『じゃあ乗った。ヤれるならトラファルガーの案でいいよ。早く壊さなきゃ気が狂いそうで狂いそうで仕方がない。』

「…ブチギレてんのかよ。」


瞳孔開いてるぞと誰かから指摘の声が入った。にしても、海軍に七武海、革命軍のルフィの兄に、海賊って組み合わせがどうにもバラエティ豊かで面白い。そして予想通り海賊の戯言に付き合ってられねえとか逃げたいとかバラバラでまとまる気がしないなこれ。
時間無駄にすんなら黙らせてやっても、と思って刀を握ろうとしたその時、ダグラスと呼ぶ声が聞こえて全員上空を仰いだ。見ればギアフォースのルフィが空を蹴って一直線に向かっているではないか。もしかしてあのまま突撃しようとでも思ってる?
結論から言えばそのまさかで、渾身のコングガンを叩き込もうとしたところあのビッグなパンチが武装色を纏って襲いかかりこちらにルフィを吹き飛ばした。しかもギアフォース解除されたし。


「ルフィ!!怪我はないか?」

「ハンコック!久しぶりだな、元気だったか!?嘉識も無事か!?」

『当然。勝たなきゃね。』

「おう!まだ負けてねえ!」


と、いう言葉が自分の口から出たことに驚いて思わず口に手を当てた。
殺すじゃなくて、壊すじゃなくて、勝つなんて言葉が殺人鬼の口から出るはずない。やっぱり零崎として矛盾が生じてしまってからだんだん自分に綻びが生じていると感じる。
一方、ルフィはトラファルガーの奴をひっぺがす策があるという言葉を聞いただけでやろうと決定した。即決。俺とは理由の違う即決力。
根拠を問えば、ここにいる面々ならどんな方法か分からずともひっぺがせると思ったらしい。どういう思考回路でそうなるのかほんといまだによく分からない。
そしてさらに不思議なことに全員で作戦をやり遂げようという雰囲気になったというのに何も聞かずまた飛び出していった。何で?今協力しようぜって話じゃなかった?
そんな強引なルフィの行動に引っ張られてか、もう動かざるを得ない状況になり、ルフィが突っ込んだその間に作戦が話されるが、至ってシンプルで一瞬トラファルガーが相手の覇気を解除させるからそこに攻撃を打ち込んで削って回復前に総攻撃とのこと。まあ、壊せるなら何でもオッケーなので作戦に特に意見はない。
そうしてルフィは真っ直ぐ飛び出していった結果、巨大な腕のフルスイングが直撃し、島のあっち側まで飛んでいってしまった。ただでさえ煮えたぎっていた腑が一気に沸騰したように熱くなる。


「ルフィ!!」

「学習能力がねえのか!」

『ほんとごめんあれでもうちの船長なんです。』

「瞳孔また開いてんぞ。」


精神安定剤的効能
(身内至上主義なので)




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