08




意識が覚醒したと同時に地鳴りと轟音。
上体を起こせば向こう側でロボみたいな奴が拳を地面に叩きつけていた。新手かと思ったその時、その拳が上げられ、地面に倒れ伏しているルフィらの姿を視界に捉えた瞬間、無意識で反射的に刀を手にしてその場から走り出す。
もっと速く、もっと鋭く、もっと強く。
その思いが強くなるほど地を蹴る力が強まり、体が空を切る感覚を覚えながらその機械仕掛けの足に刀を横から思いっきりフルスイングして一部を崩した。


「まだ息があったか!だがこの姿になってはもはやお前は敵などではない!」


その声で新手ではなく奴の能力か何かだと判断でき、殺意がまた復活して体を動かすべく血のように全身に巡っていく感覚。こちらに伸ばされた手の指と指の間に飛び移り、そのまま腕のライン一直線上に刀を引きずりながら走っていき、ガリガリという音ともに足元で火花を散らしながら傷を刻む。無論、このままどこにいるか分からないので壊して出てきてもらうつもりだ。
鬱陶しいと思ったのか、俺が走る腕を上下に揺らして俺を振るい落とそうとしてきたが、わりと冷静なのか、すんでのところで思いっきり刀を突き刺し足場を固定させる。
上下に揺さぶられながら、こうなっては一か八かで宙を駆けたところで大きな拳の的になるだけだし、なかなか身動きできないと思っていたところ、突然ロボの背後から爆撃が見えた。
そちらに視線を向けてみれば、なんと、ロボの背後でウソップが息を切らしながらパチンコを構えているではないか。お前の相手はまだ俺だろと言うものの、パチンコから放たれる弾は硬い鋼鉄の体で弾かれている様子から、あまり意味がなさそうなんだけど。


『ウソップはルフィを連れて!これは俺がやるから!』

「うるせェ!仲間が命張ってるってのに!!黙って逃げられっかよォ!!」

『…嗚呼だめだ、ぐうの音も出ないな。』


かと言っても、どう攻めればいいかと放たれ続ける弾を見ながら考える。そもそも、弾が砲台に入っても爆発とかするわけでもないその弾は一体何なのかと問おうとしたところ、一発がロボの指に当たった瞬間根を張ることに成功し、一気に蔓が伸びたと思えばなんとあの指を締め付けてへし折ったではないか。
すごいじゃんと素直に感嘆の言葉を漏らしたが、決定的ではない。ウソップの方へ片手を差し出し、手のひらから砲台を作り上げていくのを見てようやくこのロボはあの男が悪魔の身の能力で作り上げたということを察する。変幻自在か。
すぐさま腕から跳び、宙を蹴ってそのままウソップの腹にタックルを決めその場から離脱を図るも、こんなでかい砲撃である。背中に迫る炎の熱さを感じながら足は止めなかった。


吹っ飛ばされてどのぐらい経ったか。
突っ込んだ瓦礫の山からやっと這い出た。喉がガサガサで何度か咳き込むたびに脇腹のあたりがズキズキと痛む。背中は少し焦げ臭いが、少し冷静になった頭のおかげで背中に武装色をまとうことを忘れなかったため火傷まではいかなかったようだと一安心。しかしポニーテールの先っちょは少しちりちりしている。
直前にウソップのことを突き飛ばしたのでどこに行ったかと辺りを見渡せば地に伏せたままのルフィに声をかけ続けていた。


「わりィ嘉識…!俺を庇って、」

『自然でごく普通で当たり前で、息をすると同じように当然のことをしただけ。で、ルフィのことは任せていい?』

「おいお前待て、一人で行く気してんじゃねェだろうな!?」

『だって、まだ負けてない。壊してない。身内に手を出したんだから、殺して解して並べて揃えて晒して壊してやらなきゃ。』


だから行かなきゃ。そう言ってウソップの制止の手をかわしてその場を後にした。


この呼吸と引き換えに
(零崎であり続けるために)




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