02




待ちわびていた、金庫の扉が開く。きらめく黄金が待ち受けているはずだった。仲間を救う黄金が手に入るはずだった。
しかし、予想に反して一面星空が輝く夜空。歓声をあげる観客。きらめくステージ。
その光景がとてもとても信じられない様子の麦わらの一味。呆然とする。呆気にとられた顔がモニターに映し出される。


「驚いたかね?ここは天空劇場。」


処刑ショーにおあつらえ向き、ぴったりだろうという言葉とともにスポットライトが動いて、黄金の造形物にゾロが捕らえられているのが麦わらの一味の目に映る。さながら悪趣味な処刑台。
さらに絶望に落とすよう、ネタバラシが告げられる。


「お前たちは騙されたんだよ!私の忠実な僕、カリーナにな。」

「っ、カリーナ!!」

「最初に言ったでしょ。ここは、グラン・テゾーロ。騙された方が負けなのよ。」


モニター越しに悔しがるナミたちと勝ち誇るテゾーロたち、盛り上がる観客たちの様子が見える。ナミたちのすべてを削ごうとすべく、追い込もうとすべく、地下に落とされたルフィたちが海水を手に入れている映像も映って、テゾーロの合図の瞬間ルフィたちのいる部屋に次々と海水が流れ込んでしまい、あっという間に呑み込まれて姿が見えなくなった。もはや為すすべもない。
ここしかなかった。カリーナ曰く、タナカさんがいなくなるのはこのタイミング。だから俺はあそこで堪えて我慢して逃げて潜んでこうしてコントロール室に遅れて登場したわけだ。
まあ、…うっかり何人かやっちゃったけど。他の人も手を切り落としたりしちゃったり、ナイフで壁に手足を固定したりして悲鳴とかうめき声とかが聞こえるけど、衝動的なものだからしょうがない。地獄絵図には程遠い。加減してんだから。
時計を見れば12時まであと10分弱。ルフィたちにはなんとか堪えてもらうしかない。
目の前のモニターでコードが流れてsuccessの文字が浮かび上がったのを見てUSBを引っこ抜く。さて俺の仕事も終わったし合流するとしますか。


「希望が、絶望に変わる瞬間。これが究極のエンターッテイメンツッ!!」

「…、ゆるせねえ!この、っくそやろうが!!」

「さあ!フィナーレといこうか!!」


サンジが怒りに任せ宙を蹴り立ち向かっていくが、襲いかかる黄金の蔦になすすべなく捕らえられ、さらに立ち尽くす麦わらの一味にも黄金の蔦が伸び、とらえられた。
ゾロの目の前まで蔦に捕まった彼らが誘導される。


「特等席で見るがいい!ロロノア・ゾロの処刑を!死にゆく者たちに盛大な拍手を!」

『いやまだ12時じゃないんだな、それが。あと5分強ある。』

「…ほう?逃げただけかと思ってたが。どこに隠れてた?」

『ルフィたちのこと伝える前にここにみんな来てしまったから間に合わなく遅れて馳せ参じたとでも言っておこうか。逃げた?そんな馬鹿な。お金で解決するならそれに越したことはないんだろうけど、あんたは俺の身内に仇なしたからやっぱダメだよ。壊さなきゃ。てか金すらないし。もう強行手段のみでしょ。』

「嘉識!?」

「できるもんならなァ。」

『できるからそう言ったんだけど。』


何をしに出てきたという視線が観客から集まるが、いくら盛り上がっているからとはいえ12時になってないのに処刑されたら元も子もないのだ。それを分かっていないわけではあるまい。
こちらに向かっていくつもの黄金の蔦が伸びてきたが、地を蹴り飛んで刀ごと体を回転させて火花を散らしながら黄金を弾く。ぎゃりぎゃりと音が鳴った。包囲網から抜け出して着地した床からすぐ踏み出し、あっという間に一歩で懐に詰め寄った。


『零崎を、開戦する。』



噛み付かれるならどこがいい?
(我慢の限界)





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