04




主要メンバーがぞろぞろとヨンタマリアという冒険家の大きな船に乗り込み、後は出航するのみとなったが、何やら変なことが始まったようである。


『立てはするからいい加減降ろして。』

「お前まだ安静だって言われてんだろ。」

『いやもう大丈夫かと。』

「医者の前で勝手な判断はさせねェぞ。」

『トラファルガー…!』


何でこんな過保護なのかと思って顔をしかめる。
こっちでそんなやりとりが行われている中、ルフィ達の方では何でか序列と自己紹介タイムが行われていた。


「あんたが親分!俺たちァ子分!どうか俺らを海賊麦わらの一味の!!傘下に加えてけろ!!」


そういって親分用の大きな盃に酒が注がれる。
しかし、それとは裏腹にルフィはその一見とても魅力的な申し入れをすぐさま拒否した。その拒否が意外だったらしく何故かと問うバトル、いや違った、なんだっけ、黄緑頭の人。


「窮屈!」


嫌そうな顔のルフィ。
こうなったら何が何でも飲ませようとかかってきそうな子分たち。子分らしからぬ子分たちだ。


「だからよ!俺は海賊王になるんだよ!!偉くなりてェわけじゃねェ!!」


皆が揃ってその言葉に疑問を感じ、その言葉の真意を知るのは麦わらの一味だけとなる。
え、俺はよくわからないけど、まあルフィ的には偉くなるのが海賊王ではないってことでしょう?


「もし俺たちが危ねェと思ったら、その時は大声でお前らを呼ぶから!そしたら助けてくれよ!親分や大海賊じゃなくてもいいだろ!?お前らが困ったら俺たちを呼べ!必ず助けに行くから!」


ここまで言えばようやく分かってきたらしい。
いわゆる自由であることがルフィの望みということだ。
その真意に気付き始めた頃、砲撃音が鳴り響いて船がその衝撃で少々揺れたがゾロのおんぶは耐久性の高いこと高いこと。なにこの安定力。
水を差すような無粋な奴らは船団に任せ、そしてこちらはルフィの言葉に感銘を受けて、ある1つの意思に固まったようだ。
てか誰か、この目の前の男は勝手にルフィ用の大きな盃の酒飲み始めたんだけど。いいのこれ。


「いいだろルフィは飲む気がねェって言ってんだ。」

『それもそうか。』


市民は藤虎に攻撃させまいとこちらに伸びる橋を渡っているが、俺たちに攻撃するドフラミンゴ側の連合軍が近づいてきて危ない。
そんな市民の危機を放っておくはずもない海軍大将藤虎は、振り上げていた武器、上空に漂っていた瓦礫を敵の船へ振り下ろした。
いやこれは市民に対してか、それとも、俺たちへの餞別とでも言うのか。食えない奴め。
一方、ルフィの言葉に感銘を受けていた彼らは勝手な口上を述べ始める。


「ではルフィ先輩!ここに我ら子分となりいついかなるとぎも、親分麦わらのルフィ先輩の盾となり!また矛となる!この度の御恩に報い!!我ら7人!命全霊をかけてこの子分盃、勝手に頂戴いたしますだべ!!」


親分が勝手なら子分も勝手に忠誠を誓ったまで。
これはもう彼らにとやかく言えやしまい。勝手に親分盃の中身はなくなったし。


筋書き通りに動く

(だってこれは彼の物語)




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