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翌朝朝刊の一面にはドンキホーテ・ドフラミンゴが七武海と王位の放棄というニュースが飾られていた。
トラファルガー曰く、俺はシーザーの毒で倒れ、治療薬で今は落ち着いたが無理はするなという状態らしい。どうやら昨日のことは言っていないみたいでちょっと安心した。
さて、朝刊の意味を言い換えれば、トラファルガーの脅迫に応じたということ。 さらに言い換えれば、そこまでの価値がこのシーザー・クラウンにあるということだ。
…そうは見えないが。サンジからもらったホットミルクをすすりながらぼんやり彼らのリアクションを見ていると、トラファルガーがおもむろに電伝虫で電話をかけ始める。
相手はもちろんドンキホーテ・ドフラミンゴだろう。
「――おれだ、七武海をやめたぞ。」
「もしもし俺はモンキー・D・ルフィ!!海賊王になる男だ!!!」
ご丁寧に自己紹介を始め、シーザーのことをけなしながら次ひどいことしたらドフラミンゴもぶっ倒すと言う宣告までする。
しかしそんなルフィの怒りを笑っていなし、しかもなんとルフィに会いたかったと言う始末。
「フッフッフッ…俺はお前に会いたかったんだ。お前が喉から手が出るほど欲しがるものを俺は今、持っている。」
「お、おい…それは一体どれほどおいしいお肉なんだ…!」
「麦わら屋!奴のペースに乗るな!」
「ルフィ!気をしっかり持て!それが必殺奴のペースだ!!」
目がハート、いやお肉になっている船長の自我を取り戻そうと必死でウソップがルフィにビンタを繰り返す。
こういう取引は言葉少ない方がいいに決まっているのだが、ルフィにはそういうのは分かるまい。ルフィとは違って取引のノウハウを持つドフラミンゴはビジネスパートナーの安否確認を求めた。
「ジョーカー!!すまねェ俺のためにあんた七武…!」
それ以上の言葉をトラファルガーがばっと片手を出し示す。
そしてすぐに取引条件を口にした。8時間後つまり午後3時にドレスローザの北の孤島、グリーンビットの南東のビーチにてシーザーの受け渡しという名の捨て置きをするとのこと。
「フッフッフッフッ!淋しいねェ成長したお前と一杯くらい…」
「切れーーー!こんなもん!!」
目がまだお肉のルフィが奴のペースに乗るまいと電話を強制的に切った。いや奴のペースから脱出できていないのかと脱力気味になる。
朝飯タイムと全員がしゃれ込む中、全快ではない俺は空になったマグカップをサンジに渡して医務室のベッドへ戻ったのだった。
取引だけなら俺は今回お留守で十分そうだから。
深く眠るあなたはまるで
(死んだように)
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