05
「おい、どうした。」
『…いや、ちょっと目眩がしただけ。』
「早くチョッパーに診てもらえ。」
『子供らの後でいいよ。』
ウソップとナミが抜群のコンビネーションでシーザーと撤退した彼らを捕らえていた時に、耳鳴りとめまいに襲われてしゃがんでいたらゾロに声をかけられた。
てめぇもまだ餓鬼だろというセリフには突っ込む気力はない。
子どもらへの治療やタンカーの修繕が進む中、徐々に辺り一帯にいい匂いが立ち込めてきて、海軍海賊関係なしにメシを食いたいとぞろぞろと同じ場所に集まってくる。そして、追っ手が来るかもしれないというのに、そんな危機感などそっちのけでとうとう宴が始まったのだった。
目の前の光景が信じられないという顔をするトラファルガーを横目にスープをもらう列に大人しく並ぶ。
何せ雪が降ってきたせいで体がひえひえだ。
「なんだ嘉識、お前顔が真っ青だぞ。てか早く怪我の治療してもらえよ。」
『…顔が真っ青なのは寒いから。治療は別に、死にかけてるわけじゃあないから宴終わってからでいいよ。』
「じゃあこの特製スープ飲んでよく温まれ。」
サンジにお椀いっぱいのスープを手渡され、そのままなるべく宴の中心から外れるようにして歩く。手がジワリと温かくなった気がした。
どうにもこれは、血が足りないとかそんなものでは。
トラファルガーと海軍中将の男が少し先で何やら喋っているが、耳鳴りが邪魔をする。
「!おい、」
宴から外れた場所では普通は見つからない。その場にいたスモーカーとロー以外には。
あの少年が自分たちの方へ近づいてきて、まだ治療してもらってないのかと声をかけようとした瞬間、なんと倒れたのだ。
急いで駆け寄ったものの顔は真っ青、全身氷のように冷たく、そして息が荒い。
その様子を見て医者であるローはすぐ出血多量以外のなにかを疑って能力を解放し、少年の体をバラして診察する。
「ロー!そいつに何が、」
「毒だ!!身体中に毒が回ってやがる!おいシーザー!!こいつに何を食らわせた!」
「シュロロロ…動いているのを見た時は驚いたが、やはり効いていたな!」
「勿体ぶれる立場じゃねェのは分かってるな…!?」
「教えてやるとも、だがもう手遅れかもしれねえがな!そいつには確かに俺の毒を食らわしたさ!時間が経てば死に至るような毒をな!こいつは数時間前に死んでいてもおかしくねえんだよ!」
「!!くそっ、」
君はいけない子ですね
(言わねば分からないのに)
138/224 ← → back