04
『ハァッ…!ゲホッ、…助かった…、』
運良く外のガスは晴れており、シーザーもこのタンカーにぶつかったようだ。逃げる気力も体力もないらしい。
しかしその前にタンカーの上で何やら爆撃音が聞こえ…え、空飛んでる人がいる。
頭がプロペラみたいな感じに回っている男とその上に剣のような姿をした女。
タンカーの上に降り立てばどこぞで見たロボがいた。
『フランキー、あれは誰。』
「アウッ!無事だったか!知らねえがとりあえずこうなった!」
とりあえずこうなったの意味はよくわからないが、どうこう言ってる場合ではない。
空を見上げるとぐにょぐにょと剣からミサイル姿に変身した女が男の手によって投てきされた。
撃ち落とすべくフランキーが狙撃するが、しかし、それを避けながらこちらに向かってくる。
『あれに耐えられる?』
「俺はな!」
『じゃあ俺を上に投げて。』
「了解!!」
爆撃に巻き込まれないよう上空へ投げ飛ばしてもらえば眼下に空を飛んだままの男がいた。
どん、と爆音と爆炎に包まれたフランキー。
いくらサイボーグとは言え大丈夫だろうかと不安に思う中、ミサイルの破片が集まりメイド服の、ミサイルだった女になっていく。
こうして見ると悪魔の実って本当に化け物じみている。
「ベビー5!うしろだ!」
「バッファローうしろよ!」
『人のことより自分のことを気にしなよ。』
背中に降り立ち首筋に刀をそえれば、回転の勢い余ったプロペラ代わりの髪の毛が1束おさらばした。
回転を止めたことにより一緒に落下し始めるが、回転し始めればプロペラがなくなるとわかっているため身動きがとれない男。
しかしこのままタンカーに突っ込めば重傷を負うのは目に見えているので、こいつだけ突っ込ませるために武装色の拳を作り、そしてそのまま制止の声を振り切ってタンカーの床に頭を叩きつけた。
意外とこの2年で拳で闘うのにハマった。
怒りながらどんどん攻撃を仕掛けてくるが全て避けきってみせ、反撃も合わせながら少しずつ圧倒していく。
「ぬー!!何なんだすやん!あの鉄の兵士!攻撃が効かねェ!しかもあの餓鬼にいたってはすばしっこ過ぎる!」
苛立ちの声をあげる彼らは奮闘しているがもはや敵ではないと言ってもいいほどぼろぼろ。
圧倒的力の差
回転する男が武器に変身した女の剣と俺の刀をぶつけたが骨を痛めるほどの衝撃だったらしく悲鳴が上がった。俺もみしりと音が聞こえて口角が上がったのがわかる。
俺にぶつけるのはまずいと思ったのか、すぐさま距離をとり、今度はチェーンで繋がれた女を振り回し始めた。
「だが俺たちのこの攻撃を防いだ者はいねェ!!その体えぐり切ってやる!!振り回すこの武器は!!」
「シックル・ガール!!」
『なるほど鎌女ね。』
俺がダメならばとフランキーロボの腕をざくりと貫いた女の脚。
その顔はいわゆるしてやったりのどや顔が浮かんでいたが、そんなもんで勝てるとでも思っているのか。
「OKほめてやる。このジェネラルボディを貫いた威力だけはなァ!だがこんなもんは…!軍艦に刃向かうカマキリに同じ!!いつかこの海を制するサウザンド・サニー号!その最強秘密兵器の力!お前らごときにゃ勿体ねぇが見せてやる!!陸をゆく出張版ガオン砲!!」
腕を貫いた鎌女とチェーンにつながれた回転男を引っ張ってぽいと宙に放り投げるのをぼんやり見ている場合ではない。今ガオン砲というワードが聞こえたので、念のため彼の背後に回り込んでおく。
「そ〜の〜名〜も〜!ジェネラル・キャノン!!!」
船から発射されるまさしくそれが彼らを見事にぶっ飛ばし、山をも砕く威力を見ればもうギブアップだろうと思った。
さて、あのシーザー・クラウンをどう壊してやろうか。同盟とかそういうのは知ったこっちゃない。やっちゃいけないことをこの男はやらかした。
刀をシーザーの頭の横に突き刺すと驚愕の表情を浮かべたシーザーと目があった。
「…でめェっ!」
『どうも、シーザー・クラウン。こんなに抵抗できないような具合の男をどうこうするのは趣味じゃあないけど、でも見逃せもしないんだよね。』
「わっ、わがった!俺が悪かっだがら、」
『そう、わかったんだ。あんたが悪かったから壊されて。』
刀をそのまま斜めに傾ければギロチンのように涙目の彼の首をはね飛ばせる。
しかし猛烈な勢いで近づいてきた何かがそれをさせなかった。
「させないでやんす〜!!!」
『!ちっ、』
舌打ちひとつ。横から剣になった女が襲ってきたがそれを刀で受け止めた瞬間、突っ込まれた勢いで飛ばされタンカーの壁に背中を打った。
シーザーが連れ去られるのを見たものの、酸素がなくなった肺のせいで咳き込んでしまいすぐに追えない。
さっきから調子が悪い。動きがちょっと鈍いような気がするし、舌がぴりぴりしてきた。
突っ込んだらいいってもんじゃねぇ
(簡単に物事が進まなくてイライラする)
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