03




鼻が曲がったシーザーを見てスカッとしたが、でもやっぱり自分でやった方がもっとスカッとするんだろうなと思う。
今なら謝れば許してやるとかなんとか言いながらルフィに火を吹いて攻撃をしかけるも難なくかわされる。無駄って言葉を知らないのかと呆れ気味になる。
近寄るルフィに焦りながら上擦った声で、話が大きいから実感ないのもしょうがないが、この建物にいる大層強いヴェルゴとやらには敵わないと説得しだす。
虎の威を借る狐ってやつ。そんな説得聞く耳持たないルフィは重い拳を腹にぶち込んだのだった。
その瞬間、建物が大きな衝撃で揺れ、瓦礫がガラガラと落ちてくる。
いやルフィのパワーではなく別の何かが起きたようで、頭上へと落ちてきた瓦礫を上に振り上げた刀で破壊して粉々にした。


「ディキショー!てめェらおでの楽園をめちゃくちゃにしやがって…!R棟2階聞こえるか!?秘密の部屋応答せよ!!」

「は…はいマスター!今のは何事で…!?」

「換気口をすぐに開け!シノクニをこの部屋に流し込むんだ!!俺はガス!!死ぬことはない!!」

「了解!では1階の同志を上へあげてから…」

「すぐだ!今すぐやれと俺は言ったんだ!グズグズするな!シノクニこそが俺の実力!!」

「しかしそこにはまだ兵が100人以上、」

「構うかバカ!おめェらみてェなモルモットが何百匹死のうが誰も悲しまねェよ社会のクズどもめ!!」

「…!ウゥ!」


とうとう部下たちに言ってしまったその言葉に呻き声をあげる茶髭。あまりもの豹変ぶりに信じられないと言わんばかりの顔をする部下たち。
そんな彼らをよそに換気口が開いて毒ガスが流れ込んできて、みるみるうちにシーザーの体に吸収されていく。
まさしく阿鼻叫喚。
自分が信じていた救世主に毒ガスを当てられた部下たちは、皆涙を流しながら固まってしまった。
その様子を見たルフィが、嫌悪感と怒りを露わにし、その場から走って離れて行く。


「おい!どこへ行く麦わらのルフィ!シュロロロロロ!急に腰が引けたか!みっともねェ男だ!!だがその通路を抜けたB棟もすでにシノクニで充満寸前だ!もうこの島に逃げ場など残されちゃいねェんだよォてめェら全員なァ!!」


そう言っては笑うシーザー・クラウン。勘違いも甚だしい。


「何笑ってやがるてめェ!」

『可笑しいからに決まってる。怖気付いた?逃げ出したくなった?あんたほんとに本気でそう思うわけ?むしろあんたが逃げた方がいいんじゃないか。』

「何を言って…、」


忠告はした。
そしてその瞬間、シーザーがハッと気づいた時にはルフィが目の前に跳んできている、――武装色の両腕を遥か後方に置いてきて、だ。泣いて許しを乞うてど詫びを入れど何をすれどもう遅い。


「お前の顔はもう見たくねェっ!!!ゴムゴムのォっ…!!!」

「…そうだ、麦わら……お前俺の部下にしてやっても……!」

「グリズリー・マグナム!!!!」


巨大に膨らんだ武装色の両腕が毒の体ごと扉を破壊して、その体をさらに奥へ、この建物の出口方向へと突き飛ばす。
飛ばされてしまった、よりにもよってミスった。
走り出すと小さな竜に声をかけられるが待った無し。


「お、お主、どこへ!」

『まだだ。まだ終わりじゃあない。』


苦痛に歪むなんてえらく大層な言い方しやがる

(まだまだ程遠い)




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