03




途中の暗い道で凍った死体があったり生首を落としかけたのでサンジにパスしたりしたがなんとかナミたちに追いついて光の見える扉へ向かう。いつのまにかフランキーは足を正座のようにしてキャタピラで動いていた、いわゆるタンク。
そんな賑やかな集団といっしょに外へ勢いよく飛び出すと真っ白な雪景色が広がっていた。
思わず口から寒いという言葉が白い息とこぼれ出る。


「やったぞーー!建物を出たぞ!お家に帰れる!」

「パパとママに会える!」

「ヘイヘイヘヘーイフランキー!ヘイヘイヘヘーイタンクだぜー!そこのけそこのけスーパーのけー!」


決めポーズまでの一連の流れを見てルフィとか好きそうだってことと、改めて人間離れしてるなってことを思った。
寒いしみんなノリノリだしなんだろうこの空間と遠い目をしかけたが、目の前の人間たちに目が行った。


「あーー!あんた見覚えある!まさか子供達閉じ込めてたのあんた!?」

『2年前はどーも。』

「…。」


無言でこちらを凝視する様子を見る限り子供たちのことすら知らなかったっぽいが、じゃあ他に誰がこの島にいるのだろうか。でも一つ言えるのは、生首って明らかに彼の仕業じゃないか。俺能力覚えてるよ。
とにもかくにも海賊なので、目の前の海軍等から逃げようとするが、なんと子供達まで着いて来た。何でも彼らが怖いとのこと。
いや確かに見た目がガラの悪いったらありゃしないと思い納得する。保護してもらいたくないわ。
すると、背後からすり抜けて半球体のドームに一帯が覆われた。
それでもばたばたと走り続けドームの端に近づくにつれてなんだか嫌な感じがすると思っていると、案の定後ろから何かが迫ってくる気配。


『っ、』


ぎりぎりで横にそれたが、その迫って来た何かによって何かが起きたわけではない。
気のせいか、いやそんなバカな。
あんなくっきりはっきり明確なものが気のせいなわけないだろうと思っていると、隣を走る4人に違和感を感じる。


「とにかくさァ急いで走れ!クソガキ共!アレ…たばこ落としたか…」

「ホチャー!ワチョー!俺についてこいー!」

「もー!こんな時に何バカやってんのよサンジくん!」

「今週のオレはスーパー!裏口くらいすぐ見つける!」

「えっ!?」

『――っ、やられた!』


1人脚を早めてドームから脱出する。
こういうのをあいつが俺で俺があいつで状態というのか、あべこべってやつが目の前で起きたというのか。
説明すると、ナミがまるでサンジのように、サンジがまるでチョッパーのように、フランキーがまるでナミのように、チョッパーがまるでフランキーのように喋ったのだ。
門の付近にて海軍と対峙するトラファルガー・ローを見やれば俺を仕損じたとでもいう表情で見ていた。こんな状態で本当に子連れ脱出なんてできるのか、いや、そもそも、そうだ、やられた。こんな状態で脱出できるわけがない。
もう一度彼に会う必要がある理由ができてしまったのである。厄介極まりない。
じゃあどうすればなんて、あてもないしわけもわからないまま遠ざかるために走り続けるしかなかった。


後ろからなんて、ずるいよ

(卑怯者と罵ってあげたいけど)(みんな海賊)




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