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まあなんだかんだ残ったものの意外とガスマスク集団は弱くて俺の出番はなかった。毒ガスを放とうとした奴にいつもの癖で打とうとしたが、そういえば弓矢はもう壊されてしまったのかと思い出される。あれ以外の弓矢、というか、もう弓矢そのものを使おうとは思わない。
使う度に兄さんを思い出して自分がぐらついてしまいそうだから、とは言え思い出したくないっていうことでもない。使う気分にならないっていうのが正しいか。
そんなことをぼんやりと考えながら生首を抱えていたが、いつのまにか変顔を始めていた。


『何やってんの。』

「ぬあ…くう…!一体何奴だ!容易に倒せん…!」

『えっ妄想癖。』

「胴体の話だ!」


失礼な女子めとわめく生首を思わず二度見した、なんなら今の言葉聞き返したくなった。
でも聞き間違いじゃないのは確かである。


「ぬおっ、何をする!」

『誰が女子だって?どのあたりが女子に見えんの目玉取り出して洗ってあげようか?』

「な、なんと…!すまぬ…!」

「女子だってよ(笑)」

『そこ笑うんじゃない。』


敵に応戦しながらちゃっかりこちらの声が聞こえていたサンジがからかうような笑みを浮かべているのが見えて、現在進行形でかかとで踏みつけている生首を投げつけてやろうかと思った。
彼らが応戦している敵をよく見ると頭が羊、下半身も羊みたいなケンタウロスもどきがたくさんいる。何がどうしてそうなっているのかは分からないが。そうこうして圧倒しているうちにサンジがピクリと反応する。


「おい!もう道は塞いだ充分だ!今ナミさんの心の叫びを感じた!ひょっとしておれへの告白かもしれねェ!」

『何を言っているのかさっぱり。』

「んだと!?」

「アウ!今はもめてる場合じゃねえだろ!」

「拙者は置いて行け!ここに残る!逃した子らの中に息子の姿はなかった!まだ他に部屋があるはず、拙者残って…」

「だからどうやって動くんだよ!お前を置いて行ったら、俺たちが見殺しにするも同然!後味が悪ィんだよ!!」

「だが拙者息子を探しに来たのでござる!!」

「もどかしい野郎だな、はっきり頼めよ!体を捜してくれと!どこにあんだお前の体!!」

「海賊に恩は売らん!死んでも頼まんっ!」

『…ちょっと待て。あんた息子探しに来たんだよね?なら死の道を選んじゃいけない。息子があんたを待ってるかもしれないのに、助ける奴が果ててどうする?』

「むっ…し、しかし、拙者、悪党に命乞いは、」

『人斬り侍とか言われてる段階であんたも五十歩百歩。プライドと息子どっちが大事なの。息子だろ。だからとっとと行こ。』


諭すように話せば、反論がとりあえずなくなったのでそのまま運んで部屋から脱出した。


解答権はありません

(正解なんて求めていません)




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