01
陽気な音楽、風に揺れる桜の花びら、普段とは違う平和な景色だと思いながら冷えたジュースを口に運ぶ。桜前線という天候のせいだが、海の上で桜が見れるのは珍しくてなんとなく日本の景色を思い出していた。
…… 殺虫剤のガスが風に乗って運ばれてくるのがとても嫌だが。
「サンジ!俺もデザート!あと肉ー!」
「私もスイーツ食べたーい!」
「俺もー!」
「コーラ追加だ!」
「おい、酒も足りねぇぞ」
「俺もデザート食う!」
「うるっさいクソ野郎ども!人にものを頼むときは敬語だバカ!俺は、レディの為に生まれてきたんだ!」
『サンジさん俺にもデザートくださいお願いします。』
「変わり身早ぇよ…あ?」
ちらちらと雪、いや灰色がかった何かが降ってきて、もちろん今にも食べようとしているルフィの肉の上にも…。
「げっ、まずー!おいウソップ!!また害虫アタックか!!」
「もーまいてねーよ!」
「何かしら?」
「雪だ!」
いやゾロの言う通り冷たくないし、雪じゃないとしたら灰だと思うんだけど。 天候としてはおかしいと思うがグランドライン、ましてや新世界じゃ当たり前のことなのか。
「これは―――、火山灰」
「「「火山灰??」」」
火山灰の話を聞きながら、しばらくして火山灰が降る地帯を抜けたが、どうやら火山灰が降ってきた方向に向かってたらしく、ナミのログポースは不規則な動きになったらしい。
ん?つまり?俺もよくわからないんだよね。
ようするに危ないかもって話かと思うけど、ルフィはそっちに行きたいらしい。 君子危うきに近寄らずって言葉を知らないというかなんというか。
しかし、船長の言葉は絶対なこの船の方針によりナミの的確な指示で舵をその島へきっていると、
「遭難者発見!直ちに救助せよ!」
どうやら海に遭難してしまった人がいるらしくて水面を覗く。 かなりでかい図体で、ルフィが引き上げようとしたが、触った遭難者の腕はルフィの力を抜いてしまった。
んん、気を失っているだけの遭難者の腕は海牢石らしい。厄介だと素直に思う、率直に感じる。 ゾロもサンジも、ルフィもなんとなく気づいているらしいがな。
とりあえずチョッパーが治している間、火山灰にまみれた服を着替えておこう。
『とか思っていたらやっぱり厄介だったじゃん。』
「しょうがねぇだろ。」
けたたましい破壊音と共に目を覚ました遭難者が奥の部屋から出て来る。
「麦わら帽子、お前は何故に海賊などをやっている?」
「海賊王になるためだ。」
「―――海賊王?海賊王かァ!!」
その叫び声が上がった瞬間、3人が連携をとって攻撃を仕掛けていくが、正直互角に思えてしまって…、いや、今までなんだかんだ勝ってきたけどこの男は格上だろうね。
眺めているのもつまらないし助太刀してみようと思ったら―――、いきなり船が大きく揺れてバランスが崩れた。どうやら外でも襲撃らしく、俺は外に出た方がよさそうだ。
「―――来たか。」
船外へ飛び出すとなぜかロビンとチョッパーとナミが若く?幼く?なって、ウソップやフランキー、ブルックは蔦に縛られていた。
『何この状況。』
「嘉識!芝生に降りちゃだめよ!」
「モドモドの実を食べた、モドモド人間。私の能力はどんなものでも12年時間を戻すことができるの。」
それは全世界のおじいちゃんおばあちゃんが欲しがりそうな能力だな…、冗談言ってる場合じゃないのは知ってるけど。
存在までなくされちゃたまんない。
『―――でもあんた倒せば戻るでしょ?』
そう言って芝生に降り立ち、彼女に向かっていく、降りるなと言われたが蔦にまかれない速度で行くしかない。
「モサモサモサモサァ!」
『遅い!』
「モドモド!」
1発、食らう。
俺は現在16歳だから肉を切らせて骨を断つ方法というわけだ。
縮みゆく体を動かして剣を、目を見開く彼女に振り下ろした、さぁ彼女らをもとの姿に戻してもらおうと―――、
『!』
―――しかし、 手裏剣が飛んできて非力になりつつある身体から繰り出された太刀筋をずらされた、しまった、ぶわっと冷や汗がわく。
視界の端で、先ほど浴びた桃色の光が迫るのと驚きに満ちた彼らの表情が見える。
スローモーションに思えたが、しかし次の瞬間、意識はフェードアウトした。
脳内ランプ点灯中
(危険なことは分かっていたのに)
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