06
海底を突き進み新世界を目指す船。
「ここ上がったらよ…、シャンクスのいる海だ!会いてえなァ。」
「やっとだな、全部斬ってやる」
「いいわよ、どこにでも連れてったげる!!」
「食うことにはおれが困らせねェ!!」
「好きなだけケガしろみんな!!」
「そうさ、サニー号なら行ける!!」
「待っててくださいラブーン、あと半周!!」
「海の戦士も乗ってるしなァ!!」
『頼もしいことで。』
「フフ…、そうね。」
「行くぞ野郎共ォ〜〜!!新世界へ〜〜!!!」
『なんて言ってたのもついさっきのこと。』
「落ち着きすぎたおめぇは!」
『いやこれでも危機感は感じてる。』
「紅茶飲みながら言ってるやつに説得力なんてねぇよ!!」
『ウソップ手厳しい…。』
どうしてこうなったという呟きはぎゃーぎゃー騒ぐ声にかき消される。食糧調達のための釣りで、巨大な深海魚を釣り上げたはいいが白い渦巻きに魚が巻き込まれて船ごと持っていかれそうになっている。
ナミが怒りながら早く手放せと言ったが思いの外大物を釣り上げた彼らはショックらしくなかなか手放せない。
『ナミ。』
「なによ!!嘉識も早くあれをどうにか…!」
『時既に遅しってやつ。』
「「「あああああああああ!!」」」
大渦に巻き込まれもうどうにもならず、ああ木っ端微塵になるのかとでも思っていたが、運よく渦の先にいたクジラの群れにぶつかり穏やかな海流に乗ることができた。
頭に傷のあるクジラはどうやら彼らに馴染み深い種類らしく、ブルックがビンクスの酒を歌い出すと、クジラは心なしか機嫌良さそうになる。
この歌に何か意味でもあるのかもしれない、なんてね。
しばらくしてクジラたちに導かれた先はいよいよ海上、待ち望んだ新世界。
いよいよ身内に仇なす敵を壊せる時が来たと思うと心が踊るようなそんな感覚がした。いよいよ、って感じ。
青い。
(すべてを攫っていく色だ)
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