うみー!


よく晴れた夏の日。真選組一同は海にやって来た。というのも、決して海水浴などではなく、浜辺で横行する犯罪対策のためである。盗撮をはじめ、盗難被害も跡を絶たない真夏の海でパトロールをしてほしいとのことだった。

しかし一行がまともにそんな依頼を受けるはずもなく。ちゃっかり浮き輪と水着、さらにシュノーケルなど、遊ぶ準備をして訪れたのだ。当然屯所でお留守番…なんてわけにもいかないみおも連れてきた。海に行くと言ってしまえば、付いて行くと言って聞かなかったのだ。

「うみー!おっきー!」

総悟に手を引かれ、買ったばかりの水着に身を包んだみおは叫んだ。初めて見る海に目を輝かせてはしゃいでいる。

「オイ総悟、一応はパトロールっつーことで来てんだぞ。みおがいたら仕事になんねーだろ。」

土方はタバコの煙を吐きながら言った。仮にも副長である身として、注意を促さなければならないと判断したのだろう。海だと浮かれている他の隊士たちにも聞こえるように、わざと大きめの声で言っていた。

「あれ?そういう土方さんも準備バッチリじゃねーですかィ。他人のこと言えねーや。」

総悟は言った。視線の先にはしっかりと水着を着ていかにも泳ぐ気満々の土方を捉えている。

「うるせー。これはー、あれだ。何かあった時に飛び込んだりするかもしんねーだろ。だからだよ。」
「へー、誰かを助けられるほど泳ぎに自信があるんですかィ。そりゃあ心強ぇや。よーしみお、ここは土方さんに任せてあっちの浅い方に行きやしょう。土方さんはひとりでも大丈夫らしいんで。」
「誰もンなこと言ってねーだろ!おい総悟!あっ…。」

土方が言い終わるまでに、総悟はみおの手を引いて浅瀬へと歩いて行ってしまった。それを見た他の隊士たちも「じ、じゃあ俺はあっち見てまわりますね…。」などと言い訳をつけては土方を離れ、どう見ても楽しく遊べそうなビーチに向かっていく。

お前ら、と土方が言うよりも早く、蜘蛛の子を散らすように彼らは去って行った。舌打ちをして苛立つ土方の肩に、近藤が手を乗せる。

「まぁまぁトシ。いいじゃないか。あいつらだって普段は頑張ってるんだから。たまには休息も必要さ。だろ?」
「近藤さん、いたのか…って、アンタも遊ぶ気満々じゃねーか!!」

土方は既に浮き輪まで装着した近藤にツッコんだ。ただ当の近藤はその存在感の薄さに落胆していた。




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -