なんかへん


ある日の真夜中。総悟は腕の中の違和感に目を覚ました。いつものように抱きすくめて寝ているみおが、今日は頻繁に寝返りをうつのだ。「うー…。」といううめき声もセットである。

何かがおかしい。そう思ったが、わざわざ起こすのも悪い。もし悪夢をみているのであれば、せめてそれがやわらげばいいと願いながら、総悟はみおを撫でてやった。


━━━━その日の朝。

「みおー、あーさーだーぞー。」

むにぃ、と両手で頬をつまんだ。みおは眉間にしわを寄せる。

「うー…。いーやー…。」
「なんででさァ。」
「…いーやーでーさァー。」

はぁ?と総悟はため息をついた。いつも元気よく起きてくるのに、今日はぐずってなかなか起きない。しかし朝礼の時間は差し迫っている。そろそろ起きて食事をしないと、土方あたりがうるさいだろう。

仕方がないから抱っこして洗面台につれていった。しかし未だにぐずっていて、ひとりで顔を洗おうともしない。これは一体どういうことだ。

「うぅー…。ぐすっ、うぇえぇぇえぇん…!」
「っとに、何だってんだ…。」

突然抱きついてきたと思ったら、号泣。抱き上げて背中を叩いてやる。頭を撫でたところで、ようやく気づいた。

「…あちぃ。」

抱き上げたところでは、幼児特有の高体温だと思った。しかし撫でた時の温度はいつもより確実に高い。前髪を払って額に手を当てる。念のため、自分の額とみおの額を合わせてみた。

「ふぇっ、ひくっ、うぅーー…。」

やっぱり熱い。指の腹でそっと涙を拭ってやる。

「そんなに泣いたら頭痛くなりやすぜ?」
「だって、なんか…。なんかぁ…。へんでさァ…。」
「熱があるからなァ。今日1日はじっとしときなせェ。」

ゆっくり背を撫でながら部屋に戻り、布団に寝かせた。目の端からこぼれ落ちる涙をすくってやる。

「食えそうなモンはありやすか?」
「ぐすっ、お、おなか…へってやせん…。」

それはそうか、と総悟は思った。風邪を引いているときにバクバク食べられる人はそういない。まずは熱を測るべきか。それから熱を下げて…。

自分が熱を出した時はどうだったか。姉はどのようにしてくれたか。遠い昔の日を思い出す。

━━━━そうちゃん。だいじょうぶ?

瞼の裏に姉の姿が浮かんだ。よく冷えたタオルで頭を冷やしてくれて、おかゆを作って食べさせてくれて…。

そしてなによりも、片時も自分のそばを離れなかった。




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