ゆうかい

「はぁ?みお?来てねーよ。大体こどもがひとりで来れるわけねーだろ。」
「…そーですかィ。失礼しやした。もし来たら連絡くだせェ。」

やはりみおは来ていなかった。予想はついていたことだったが、せめて目撃情報だけでも聞くことができたら、と思っていたのだ。

さっさと帰って行ってしまう総悟を呼び止めるように、銀時はこう言った。

「まぁ、なんだ。探せっつーんなら探してやんなくもねーけどよ。コレ、弾んでくれよ?」
「…いや、自分で見つけるとしまさァ。お心遣いありがとうございやした。」

茶化すように、親指と人差し指で輪を作って言ったのも、彼なりの優しさであった。しかしやはり、自覚はないようだがかなり独占欲の強い総悟が、その申し出を受け入れるはずもなく、空振りに終わってしまった。

ただ、銀時も銀時で焦っていた。突然訪ねてきた総悟から聞かされたのは、親しくしている子どもであるみおの行方不明。心配して捜索を願い出たが断られ、やり場のない思いを抱えることになってしまった。しかも、普段礼など言わない総悟が礼を言って出て行ったのも、気がかりになる原因であった。

「しょーがねぇなぁ、探してやるか…。」

銀時は重い腰を上げるように呟いたが、その本心はかなり能動的なものだった。







「みおっ…!」

どこだ、どこに行ったんだ。屯所から万事屋までの道を何度も往復した。路地も出来る限り覗いた。しかし一向に姿が見えない。目撃情報すら聞かない。

『誘拐』

その2文字が頭をよぎった。仮にも真選組で預かっている少女が誘拐されたとなっては、世にも示しがつかない。…もともと示す行儀の良さなど持ち合わせていないが。

そもそも、何か危険が及んでいたらみおは叫ぶはずなのである。あの叫び声が聞こえないはずないし、近くにいたら自分のにおいを察して何らかのサインを送るはずだ。もっとも、声を発せない状況にあるのかもしれない。そう思えば自然と歩みが速まった。


「…ーっ、そ……、ご…!」


ふと、足を止めた。今のは幻聴だろうか、空耳だろうか。確かにみおの声に聞こえたが、不安がそうさせるものであったかもしれない。けれど、無視することは出来なくて。振り返って大通りを見た。大通りから生える路地はそう多くはない。その中で子どもひとりを連れ込める場所。かつ、声が聞こえるほど近いところ。2、3本、目星をつけて路地裏へと足を進めた。

1本目。

薄暗い路地を奥へ奥へと進んでいく。この歳になって暗闇が怖いなどということはないが、それでもいくらか不気味さはある。しばらく歩くと、曲がり角に突き当たった。さすがにこんなに奥にいるはずはないか…?曲がった先を確認して何もなければさっさと引き返そう。

「んー!むー!」

目に飛び込んできたのは、口にテープを貼られ、さらに手ぬぐいで目隠しをされてもなお、新聞紙を握りしめるみおの姿だった。


━━━━1本目の路地、ビンゴ。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -