淫乱大学生が冴えない童貞リーマンを筆おろし

金曜日、僕はひとりで夜の街を彷徨い歩いていた。
 何がしたいという明確な目的は特になかった。ただ、誰もいない家に帰るのが寂しくて、騒がしさを求めてふらっと立ち寄ったのだ。だが、いざ喧騒の中に潜り込むと、自分が孤独であることが余計に浮き彫りになっただけだった。
 このまま帰るか、居酒屋にでも行くか考えあぐねて立ち止まっていると、僕よりも少し背の高い、黒髪の青年に目を奪われた。ぱっちりとした二重のつり目で、鼻が高く、少し唇の厚い美青年だった。歳は、二十歳前後かと思う。思わず見惚れていると、目が合った。慌てて顔を逸らしたが、青年は僕が見ていたことに気付いていたようで、軽く微笑みながら僕のほうへ駆け寄ってきた。

「ねえお兄さん、今ひとり?」

 白い歯を見せて、青年が言う。

「ひ、ひとり、ですが……」
「暇だったら、俺と遊ぼうよ」
「えっ?」

 予想外の言葉に、思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
 さっき自分をじろじろと見つめていた不審なスーツの男を、どういう意図で遊びに誘っているのか、さっぱり分からない。嫌な想像ばかりが頭の中にぼんやりと浮かぶ。
 だが、このモデルかアイドルのような美青年とすぐに別れてしまうのもなんだか惜しかった。

「ね、いいでしょ? 俺、お兄さんとお酒飲みたいな」
「え、いや、あの、えっと……」
「お兄さんの好きなお店でいいよ」

 ぼったくりの店にでも連れて行かれるのかと思ったが、そういうことではないらしい。

「い、……一軒だけなら……」

 青年の美貌に釣られて、僕は結局了承してしまった。
 店はどこでもいい、と青年が言うので、前に行ったことのある、個室の居酒屋に向かった。
 店に向かう途中で、青年は自らを純平と名乗り、二十歳の大学生であると語った。真偽のほどは定かではないが、僕はこの青年を純平という二十歳の大学生であると認識するほかなかった。僕も純平に、自分は渚という名前であること、サラリーマンで、今年で二十四歳になることを伝えた。
 居酒屋につくと、僕はビールを、純平は梅酒のソーダ割りを頼んだ。お通しが来たので、つまみは頼まなかった。
 今まで経験したことのない状況に、僕の心臓は激しく高鳴っていた。気持ちを飲み干すようにビールを煽ると、純平も手元の梅酒をくい、と軽く飲んで笑った。

「渚さん、飲みっぷりすごーい。お酒強いの?」
「い、いや、特別強いってわけじゃないんだけど……」
「俺、すぐ酔っ払っちゃうから羨ましいなぁ」

 純平の声はやけに色っぽく聞こえた。濡れた唇が、少し暗い部屋の中で光る。視線を下ろしていくと、男らしい喉の隆起や、骨張った大きな手が瞳に映る。セクシーなその体に、思わず目を奪われる。

「あ」

 純平は、僕の顔を見つめて微笑みながら口を開いた。

「渚さん、今、俺のことエッチな目で見てたでしょ?」

 嫌悪感のまるでない、軽いジョークのような口吻だった。性的な目で見られるのには慣れているのかもしれない。これだけの美貌があるのだから、そうであってもおかしくはない。

「み、見てないよ」
「正直に言っていいんだよ。ね、見てたよね?」

 そう言うと純平は、焦らすようにゆっくりとした動作で僕の隣に席を移した。肩と肩がぶつかる。スキニーに見えたが、案外腕が太い。逞しいその肉体に、つい、胸が熱くなる。

「ほら、エッチな目してる……」
「い、いや、そんな……」
「嘘つくなよ。俺とエッチなことしたいんでしょ?」

 純平の言うことは、少し間違っていた。
 こんなにカッコいい男の子とエッチなことがしたいだなんて、そんなことは、冴えない童貞の僕にはおこがましくて到底考えられない。
 だが、いやらしい目で見ているのは事実だった。

「うん、……ちょっと、エッチな目で見てるのは、あるかもしれない。でも、何もしないよ」
「何もしないの?」
「う、うん、だって、こんな」

 僕の言葉を遮るように純平が口を開く。

「いいんだよ、しても……」
「えっ、な、何……」
「分かるでしょ?」

 純平は梅酒をぐいっ、と飲み干し、脱ぎ捨てていたコートを着直した。僕はどうしたら良いか分からずに暫く動けないでいたが、純平が伝票を渡してきたので、漸くジャケットを来て席を立った。
 会計を済ませて店を出る。店先で待っていた純平は、僕の姿を見とめると、ごちそうさまです、と笑って、すぐに歩き出した。財布を出すそぶりも見せなかった。
 純平は迷うことなく夜の街を歩き、一軒のラブホテルの前で立ち止まった。半信半疑だった、してもいい、という純平の言葉が、急に甘い響きを持って僕の心臓を揺らした。

「行こ」
「あ、ああ、う、うん……」

 不安と妙な期待感が、頭の中を巡る。

 本当にこんなカッコいい男の子とセックスができるのか。
 セックスをしたあとに、高額のお金を請求されたら。
 途中でいかつい男が乱入してきて、暴力を振るわれたら。

 それでも僕は、純平の案内するままにホテルに入った。
 二十四年生きてきて、ラブホテルに入るのは初めてだった。

「おっきい部屋がいい」

 ロビーにあるタッチパネルを見て、純平は無邪気にそう言った。操作が分からなかったので、僕は、前払いをする以外は全て純平に任せた。
 純平が選んだのは、清潔感があり、ベッドも大きい、広々とした部屋だった。
 部屋に入ると純平は、すぐにコートを脱ぎ捨て、ソファに腰掛けた。僕は純平の脱ぎ捨てたコートと自分のジャケットをハンガーに掛け、少し迷いながら純平の隣に座った。
 どうすれば良いか分からずに軽く肩を強張らせていると、純平の筋肉質の脚が、僕の少し肉のついた脚に触れる。偶然にしては艶かしい動きだった。

「ねえ、渚さんって童貞でしょ?」

 無邪気そうな笑顔で純平が尋ねる。
 図星だったので何も言えないでいると、純平は、やっぱりそうなんだ、と呟くように言った。

「どうして分かったの?」
「えー、渚さん、すっごい分かりやすいよ」
「そ、そうかな……」

 この歳で童貞というと、揶揄われることが多い。恥ずかしさに体が熱くなるのを感じる。純平のような歳下の男の子ならなおさらだ。

「恥ずかしい?」
「えっ、あ、……は、はい……」
「んふふ、渚さん可愛い……」

 そう言って笑うと、純平は僕の内腿に手を這わせた。ただ触るだけではない、舐めるような、いやらしい手つきだった。僕はもう、それだけで勃起していた。鼻をくすぐる、しつこくない香水の匂いと男の子の汗の匂いが色っぽくてたまらない。こんな子とセックスができるのなら、もういくら払っても、どれだけ殴られても構わないような気がした。

「ちんぽ、もうおっきくなっちゃったんだね……」

 耳元で囁かれる。かすれたような甘い声に胸が躍る。純平も興奮しているのかもしれない。誘っているのだからそうだろうとも思うけれど、それでもやはり、純平みたいなかっこいい男の子が僕で興奮するわけがない、という考えが、頭の中にへばりついて離れない。目覚めたくない夢を見ているような気持ちだった。

「渚さんのちんぽ見せて」

 そう言って、純平は僕のベルトに手を掛けた。
慣れた手つきでベルトを外され、スラックスのチャックも下着も下ろされる。勃起したチンコが跳ね出るのを、純平は嬉しそうに見つめていた。

「すげー、でっか でっかいちんぽ大好き」

 本心なのか、お世辞なのか分からない。他人の勃起したチンコなんて、AVでしか見たことがない。

「ねえ、もっとよく見せて……」
「え、あ……」

 純平はソファを降りて、僕の前に跪いた。綺麗な顔と、自分のチンコが視界の中で重なる。なんだか申し訳ないような、後ろめたいような気になる。でも、そんな感情ではかき消されない、分厚い興奮が僕の頭を覆っていた。

「んん……、ちんぽくっさぁい……

 チンコに鼻を近づけながら純平が呟く。
 そういえば、今日は一日中仕事をしていて、昨晩からシャワーも浴びていない。

「ごっ、ごめん! シャワー浴びてくるよ!」
「んーん、だめ。匂い嗅がせて、ちんぽの臭い匂い大好き……」

 頭がくらくらした。
こんなにエッチな子が、本当にいるのだろうか。夢か幻覚の類なのではないか。
そう思いつつも僕は、この美青年を前にして、与えられた快楽と興奮にただひれ伏す他なかった。

「はぁあ……。くさぁい。んん、好きぃ……」

 純平は、鼻をすんすんと動かして匂いを堪能すると、上目遣いで僕のほうを見つめながら、焦らすようにゆっくりとチンコを口に咥えた。
 生暖かい感触が僕のチンコを包み込む。オナホールよりも優しく、ふわふわとした感覚だ。少しくすぐったいな、と思っていると、純平は口の中で器用にチンコに舌を這わせながら、吸い付くように顔を動かし始めた。途端、強烈な快感が体を電流のように駆け巡る。

「あっ、ああ、あ……」
「きもひいい?」
「気持ちいいっ。やばい、ひっ、ひう……。う、あ、あ……」

 体を襲う強い刺激に、声を我慢できない。下を向いて純平と目を合わせると、興奮してさらに快感が増した。美青年が、口を歪ませて僕の汚いチンコを舐めているのだ。顔に陰毛が擦れるのも気にしていない。

「んん……、童貞ちんぽおいひい……」

 うまそうに僕のチンコをしゃぶる純平は、棒付きのキャンディを食べる子供のようだった。セクシーなのに愛らしい。そのギャップがたまらなかった。

「んっふ……、んん、んむぅ……」
「ん、ああっ、うう……」
「ふふ。んっ……」

 僕の声に合わせるように、純平の舌の動きが大胆になる。体が溶けそうなくらい気持ちいい。もう、射精したくてたまらなかった。

「出したい?」

 僕の顔をじっと見つめながら、囁くように純平は言った。

「だっ、出したい……」
「いいよ。口の中に出して……」
「えっ……」
「俺の口の中に、渚さんのザーメン、いっぱい出して」

 この美青年の口の中に、己の汚れた欲望を吐き出せるのかと思うとたまらなく興奮した。
 純平は、再び僕のチンコを咥えると、今度は激しく顔を動かし始めた。蕩けるような甘く温かい感覚と、吸いつかれる激しい感覚が同時に襲ってくる。もう我慢できない。

「あぁっ、待って、待って、もう出る……!」
「んんっ」

 精液が迫り上がってくるのを感じる。快感が、体全体を駆け巡る。

「うっ……。あっ、ああ……」

 純平の口の中に精液を吐き出す。征服感と背徳感と、射精したあとの心地よさとで、体が甘く疼く。純平は何度か精液を絞り出すように僕のチンコに吸い付くと、ゆっくりと口を離した。

「ふう、ううう……」
「ん」

 純平は、上目遣いで僕を見つめながら口を開けた。口の中に、白く濁った僕の精液がはっきりと見える。

「濃いのいっはいれたあ」

 そう言って無邪気に笑うと、純平は僕に見せつけるようにわざとらしく音を立てて精液を飲み込んだ。魅惑的な喉の林檎がなめらかに上下に動く。
 本当に口内に射精してしまったのか、と思うと、出したばかりだというのにまた気持ちが昂ってくる。純平は、艶かしいような、それでもどこか無邪気なような瞳を細めて、首を傾げた。

「もっと俺とエッチなことしたい?」

 甘い誘いに、僕はすぐに頷いた。
 熱々のトーストに乗せたバターのように、理性が溶けて本能へと変わっていくのを感じる。

「……準備するから、ちょっと待ってて」

 そう言うと、純平は浴室へと消えていった。本当はもう、今すぐにでも純平のその体に触れたかったが、焦らされるのも、それはそれで悪くない、と僕は思った。
 純平は、なかなか戻ってこなかった。
 その間に僕は、社用携帯に届いていたメールの返信をして、サービスの水を半分ほど飲み、萎えたチンコを下着にしまい、ホテルのパンフレットを流し見した。アダルトチャンネルのページもあったが、それには全く興味をそそられなかった。
 さっきまでの出来事は全部僕の幻なんじゃないかと思い始めた頃、純平は漸く浴室から出てきた。
 純平は、裸に下着を履いただけの格好だった。
 腕も脚も適度に太く、盛り上がった胸筋と腹筋が肌に陰影をつけている。脛毛と腕毛は剃られていたが、脇と足と臍の周りには黒々とした毛が生えていた。もともと、体毛の濃い子なのだろう。下着はゼブラ柄のボクサーブリーフで、布地が軽く膨らんでいた。

「す、すごい。かっこいいね……」

 思わず逞しいその体に触れそうになったが、純平はそんな僕の手を優しく拒んだ。

「ベッドでしよ

 甘えたような、しっとりとした声だった。その声だけで、僕はまた勃起してしまった。
 純平に促されるようにしてベッドに行く。
ラブホテルのベッドの上で、裸の美青年が、艶めかしい瞳で僕を見つめている。アダルトビデオの世界に来てしまったみたいだった。

「渚さんも脱いで」
「う、あ、あ、うん……」

 言われるがままに服を脱いで、純平と同じように下着姿になる。躊躇う気持ちはあまりなかったが、純平が期待したような目で僕を見つめるので、少し恥ずかしくなった。

「ふふ、照れてるの? 渚さん可愛い」
「か、可愛い、って、そんな……、あっ」

 純平の唇が、僕の唇に触れる。
 誰のために守っているわけでもない、僕のファーストキスだった。

「んっ……」
「んん」

 固く閉じた僕の唇を割くように純平の舌が這う。軽く口を開けると、生ぬるいそれはするりと僕の口内へ入り込んでいった。どうするのが正解なのか分からなくて、僕はがむしゃらに純平の舌に自分の舌を絡ませた。歯がガチガチと当たる。きっと僕のキスは不器用なものなのだろうと思うけれど、それでも蕩けそうなくらいに気持ちよかった。下半身が熱くなるのを感じる。

「渚さん……」

 甘い声で僕の名前を囁くと、純平は、僕の耳の穴にそっと舌を這わせた。
 なめらかな快感が、僕の体を微弱な電流のように駆ける。唇から変な声が勝手に漏れた。耳を舐められるのがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。

「はう、ひ、ひうう……」
「耳気持ちいい? もっとぺろぺろしてあげる……」
「んっ、んひぃいっ。へうぅ……!」

 純平の手が、僕の胸から腹、そして、下着を押し上げるチンコへと移る。耳とチンコの刺激が合わさって、何倍にもなって僕の体に襲い掛かる。耳の奥を舐められながらチンコを布越しに扱かれると、もうそれだけで射精してしまいそうだった。
 
「もっ、もうだめ、純平くん、出ちゃう、出ちゃう……!」

 僕が言うと、純平の手がぴたりと止まる。

「もう出しちゃうの? お尻に入れなくていいの?」
「へ……」

 弄ぶような、それでもどこか切なげな声が僕を昂らせる。視線を下に向けると、純平は分かりやすく尻を振った。

「い、いっ、いい、の……?」
「いいんだよ……。渚さんのデカマラ、俺のケツマンに入れて……」

 純平は少し恥ずかしそうにしながら、セクシーなゼブラ柄の下着を脱いだ。黒々とした陰毛と、隆起したピンク色のチンコが露わになる。僕のものよりも色が薄く、少し細くて、カリが高い。同じ性器でもこんなに違うんだな、と、どこか冷静な頭で思っていると、純平は枕に凭れかかり、大胆にその長い脚を広げた。
 ぷっくりとした可愛らしいアナルと、垂れ下がったキンタマが目に入る。尻はでっぷりとして大きく、アナルは少し黒ずんだピンク色で、アナルの周りにもキンタマにも毛が生えている。

「え、エロっ……」

 僕がため息をつくと、純平は嬉しそうに自分の放り投げられた鞄に手を伸ばし、中から小さなボトルを取った。ボトルには、バック用ローション、という文字があった。

「今濡らしてあげるから待ってね……」

 そう言って純平は、ローションを手にたっぷりと出し、尻穴に指を這わせた。純平のアナルは、少し太いその指を容易に受け入れる。さっき、なかなか風呂から出てこなかったのは、この準備をしていたからかもしれない、と僕はようやく思った。
 指が三本ほど入る頃になると、純平は手を止め、僕を挑発するように軽く腰を振った。

「もうケツマントロトロだから、いつでも入れていいよ」
「ほっ、ほ、……本当にいいの?」
「いいって言ってんじゃん。早く、そのでっかい童貞ちんぽで、俺のケツマンいっぱい犯して……」
「……」

 卑猥な言葉に頭がくらくらした。
 ベッドに置いてあったコンドームを手に取り、恐る恐る装着する。純平がローションを手渡してきたので、それをゴムを付けたチンコに塗りたくってから、食虫花の如くひくつくアナルに亀頭を擦り付けた。
 そのまま腰をぐっ、と押し付けると、ローションの滑りで僕の肉棒は中にするりと入り込んでいった。

「あっ! あっ、あ、あうぅっ……」
「ふ、あ、あ、ふぉっ、へひぃ」

 今まで味わったことのない快感がチンコを包み込む。温かくて、柔らかいのに少しきつい。奥まで挿入すると、肉壁がねっとりと絡み付いてくる。大蛇に飲み込まれたような気分だった。

「ん゛……っ、ん、渚さん、動いていいよぉ……」
「だいじょうぶ?」
「うん……、渚さんの好きに動いて……」
「ふ、う、う……」

 恐る恐る腰を引くと、まるで離したくないとでも言うかのように肉壁がチンコに吸い付いてくる。気持ちよくてたまらない。何度も動かしていると、快感が増幅されていく感じがした。初めはゆっくりだった腰の動きが、無意識にだんだんと速くなっていく。

「あ、あっ、あっ、ん゛、ん゛んっ。あっ、はげしっ……」
「ごっ、ごめん! ゆっくり動くね……」

 動きを止めると、純平はとろん、とした顔で首を振る。

「いいよ、激しくして……。いっぱい気持ち良くなって」
「うっ、……」

 もう、余裕なんてものは殆どなかった。純平は僕の方を見つめ、早くもっとして、と甘えた声でねだっている。気付けば僕は、さっきと同じように激しく腰を振っていた。

「あっ、あっ、あ、あ……、んっ、ん゛んっ」
「うっ、うう、ごめん、腰止まんない……」
「いいんだよ……いっぱいして。渚さんのデカマラで、俺のおマンコもっといじめて……」

 卑猥な言葉に胸がくすぐられる。純平にももう、余裕はないのかもしれない。そう思うとたまらなかった。

「ああっ、やばい、純平くん、もう出そう、出ちゃう、出ちゃう……!」
「出して……。熱いザーメン、俺のケツマンにいっぱい出してえ……」
「あぁっ、やばいっ、もう出る、うっ、うぅっ!」

 熱い精液が尿道を駆け上がる。ゴムの中に出しているのは分かっているはずなのに、純平の中に出しているみたいで興奮した。

「ん゛っ、あ、あ……」
「んふうう、はぁあ、あ、あ……、ごめん、すぐ出ちゃった……」
「いいよ。気持ちよかった?」
「うん……」

 腰を引くと、ゴムはたっぷりと精液を溜めて僕のチンコに重たくぶら下がっていた。純平はそれを受け取ると、さっと先を縛り、ティッシュにくるんでゴミ箱に捨てた。慣れている子なんだな、と、今更ながら思った。

「お掃除してあげるね」

 そう言って、純平は躊躇うことなく僕の萎えたチンコを優しく咥えた。くすぐったい。

「んふ……、んんん……、んん。きれいになったよ……」
「う、うん、ありがとう……」

 僕が言うと、純平は嬉しそうな顔で抱き着いてきた。男の子の、酸っぱい汗の匂いがする。何だかいけないことをしているみたいで、それがなんとなく僕の心を擽った。
 純平は、犬のように僕の鼻や顎を舐めしゃぶる。さっき出したばかりなのに、再び体が昂ってくるのを感じた。欲望のままに純平の肌に触れてみる。舌や唇は驚くほどに柔らかいのに、体はがっしりしていてかたかった。

「もっと触って……」
「い、いいの……?」
「いっぱい触って……」

 ぷっくりと膨らんだ乳首に手を伸ばす。恐る恐る、指先で摩ると、純平は気持ちよさそうに体を震わせた。演技なのか、本当なのかは分からなかったけれど、僕の愛撫で純平が反応しているのであれば嬉しい。

「舐めて……」
「……」

 純平のねだるままに乳首に舌を這わせる。少し塩っぽいのは汗の味だろう。軽く唇で吸ってみると、純平はシーツの上で体をくねらせながら甘い声を上げた。

「んっ、あ、あっ……」
「きっ、気持ちいいの?」
「気持ちいい……」
「う、お、おお……」

 自分が美青年に快感を与えていると考えると、たまらなく興奮した。
 僕は、もうすでに勃起していた。二回も射精したとは思えない。自分の性欲の強さに少し恥ずかしくなったが、もはやそんな感情は構っていられなかった。
 乳首を指で摩りながら、ぎこちなく耳や首筋を舐めてみると、純平の喘ぎ声はさらに甘く、高くなった。白いシーツに投げ出された黒い髪がセクシーだった。こんな眩暈のするような色気を、まだ二十歳の若者が出せることに驚く。

「んん……、またちんぽ欲しくなってきちゃった……」

 僕の耳に唇を寄せながら、恥ずかしそうに純平は呟いた。瞳は甘く、うつろでありながらギラギラした健康的な色気を放っていた。
僕は、どうするのが正解なのか分からないままにコンドームを手に取り、もたつきながら装着した。それから、ローションを貸してもらって、ゴムの上からチンコに擦り付ける。

「今度は俺がしてあげるね

 そう言うと、純平は体を起こして僕の膝の上に乗った。そのまま、僕のチンコを握り、自分のアナルにあてがう。さっきまでの余韻とローションのおかげか、チンコは、するりと純平の中に入り込んでいった。肉壁がぴったりと僕のチンコに絡みつく。

「あ、あう……」
「すげえ……、二回も出したのに、超ガッチガチじゃん」
「ん、んふうぅう……」

 純平は少し体にチンコを馴染ませると、すぐに腰を揺らし始めた。単純なピストン運動ではなく、気持ちいいところを探るような、妖艶な動きだった。躊躇いは一切ない。

「んっ、んんっ……、あっ、あ゛ぁあんっ、すごいっ……、ちんぽ、奥まで入って、あっ、ん゛っ、ん゛ぁあんんっ……」
「気持ちいい……?」
「気持ちいいっ……!渚さんのデカマラ好きっ、あ、あっ、すごいの、ん゛っ、うっ、くうぅうんっ……!」

 純平は、いやらしい言葉を唇から漏らしながら、気持ちよさそうに激しく腰を揺らす。
さすがに二度射精しているから我慢できたが、大胆なその動きに、また精液が持っていかれそうになった。

「うぅ……、はあ、はああ……」
「あぁあ゛んっ……、ん゛ぁあっ、気持ちいいっ……。んん、もっと、もっとおぉ……」

 僕のチンコは、もう完全に純平のオモチャになっていた。その感覚が心地よかった。見下ろされながら腰を振られて得られる快楽は、僕の思っていたよりもずっと甘美なものだった。

「あぁあんっ、もうだめえ……。いっちゃう、いっちゃいそう……」

 色っぽく顔を歪ませながら純平が尋ねる。美青年はどんなときでも美青年だ。

「い、いっちゃう?」
「うん、ケツマンいっちゃいそう……。はう、あ、あ、デカマラで突かれていっちゃう……」

 長い睫毛を瞬かせながら、泣きそうな声で純平が言う。垂れた汗が、僕の胸にかかる。

「ふん゛んんっ、ん゛っ、いっちゃう、あ、あ、いっ、あ、あっ、んっ、あぁああっ、ん゛ぅううぅっ! うっ、あ、あ、あ、いくっ、い゛っ……、……んあぁああっ、ん! んっ!」

 心の底から気持ちよさそうな声を上げ、純平がぶるっ、と体を震わせる。ぴったりと僕のチンコに張り付いていた肉壁がびくびくと跳ねる。自分のチンコで純平が絶頂してくれたのだと思うと、なんだか誇らしかった。
 純平は、軽く呼吸を整えると、ゆっくりとチンコを引き抜き、僕の隣に寝転がった。そのまま目を閉じて唇を軽く突き出したので、恐る恐るキスをしてみる。すると純平は、抱き着いて僕の口内に舌を入れてきた。僕とこの子は恋人同士なんじゃないかと、錯覚してしまいそうな熱い抱擁だった。

「んん、きもちよかった……」

 顔を擦り付けて甘えてくる純平が可愛くて仕方がなかった。頭を撫ぜると、犬のようにくう、と鳴く。

「渚さん、……もっと……」
「もっと?」

 激しく髪を撫ぜると、純平はぶんぶんと首を振った。

「もっと、えっちしたい……」

 呟くように言って、純平は僕のチンコを握った。遠慮のない手つきだった。僕のチンコは、未だ勃起していた。

「まだできるでしょ? ちんぽ、びんびんのまんまじゃん……」
「う、うん……」

 僕が頷くと、純平は満足そうに四つん這いになり、僕に尻を向けた。何かしらのスポーツはやっていたのだと分かる、でっぷりとした大きな尻がいやらしかった。広がったピンク色のアナルを見ると、早くまたこの中に入れたい、という欲望が湧いてくる。コンドームを新しいものに交換して、ローションを継ぎ足す。純平は、これから与えられる快楽に期待しているのだというように腰を振った。

「早くぅ……。ちんぽ欲しいよう」

 切なげな声がたまらない。純平の腰を掴み、尻に亀頭を擦り付ける。そのまま、ぐっ、と腰を寄せると、純平のアナルは歓迎するかのように静かに僕を受け入れた。

「あっ……、ああ……」
「んんっ、ふううう……。うっ、うう……」

 お互いの喘ぎ声が重なり合う。緩い挿抜を繰り返して馴染ませてから、ゆっくりと腰を引く。純平の、馬のような逞しい背中に興奮した。腰の動きを少しずつ速めていく。

「あっ、あぁぁあん……。きもちいい……」

 震えたような純平の声が可愛かった。ぱん、ぱん、と、皮膚と皮膚が重なる音が耳に響く。今、自分はセックスをしているのだ、と、改めて思う。白昼夢を見ているような心地だった。

「んん、あ、あ、あ、ああ゛……、もっと激しくしてえ……!」
「もっ、もっと……」
「あっ、ああ、そうっ……、そこいいっ、もっと、もっとカタいちんぽで突いてえ……!」

 わがままな純平が可愛かった。言った通りに腰を動かすと、気持ちよさそうに感じてくれるのが嬉しい。

「あっ! あぁんっ。すごいっ、すごい、あ、あ、あぁっ……。溶けちゃう……!」
「溶けちゃうくらい気持ちいいの?」
「うん、うう、はうぅ……」

 愛おしさに胸がくすぐられる。ちょっとの余裕さえ食われていく。

「なっ、渚さんも……、渚さんも気持ちいい?」
「うん……、すごい気持ちいいよ……」
「はぅうう。んっ、んっ」

 純平は喜んでいるようだった。そういうところも可愛かった。精神の快楽と肉体の快楽がごっちゃになって体を襲ってくる。

「んん……、あっ、あ゛、あ゛っ、んっ、やっ、すごいっ、すごい……! あっ、だめ、だめええっ」

 本当にダメなわけではないだろう。それくらい、僕にも分かる。さらに腰の動きを速める。純平の嬌声が耳に心地いい。

「あっ、あ゛、だめっ、それ、いっちゃっ……、あ、あぁああっ、ん゛っ、ん゛んん! いく! いっちゃう! だめっ!」

 そんなことを言われて動きを止めるような僕ではない。純平の腰遣いを思い出しながら、何度も激しく奥を突く。柔らかい肉壁が、じわじわと僕を締め付ける。

「あぁあっ、いく、いくっ、いっちゃう……! いっ、……! いくぅううんんんんっ! ん゛っ、ん゛、ん゛ぁああっ……、あ、あっ」
「いっちゃった?」
「うん……」

 純平は恥ずかしそうにシーツを掴んで俯いていたが、腰を引こうとすると、ぶんぶんと首を振った。

「んっ、だめ、抜かないで……」
「えっ、で、でも……」
「渚さんもいって……」

 色っぽくねだられて、思わず、溜息が漏れる。眩暈でも起こしそうな心地だった。』
純平のようすを見ながら、少しずつ腰を動かし始める。温かく甘ったるい純平の体で、もう僕の体は完全に蕩け切っていた。あまり激しくはしていないが、限界も近かった。

「あぁあ……、気持ちいい……」

 思わず口から声を漏らすと、純平は、嬉しそうに甘い声を上げた。

「はぁあ、……出る、出そう……」
「出して、中にザーメンいっぱい出してえ」

 興奮した荒っぽい声がたまらなかった。熱い精液がせり上がってくるのを感じる。

「うっ、いくっ……、ああっ……」

 三度目の精液をたっぷりと吐き出す。純平の体の中で射精をしているのだ、と思うと、コンドーム越しだというのに中出しをしているみたいで余計に興奮した。余韻が抜けてから腰を引くと、大量のザーメンがコンドームの先に溜まっていた。

「ごめん、いっぱい出ちゃった……」
「なんで謝るの? いっぱい出してくれて嬉しいよ」

 純平は、ベッドに寝転がりながら僕の顔を見て微笑んだ。

「これで童貞卒業できたね」
「い、いや、うん……」
「どしたの?」
「まだ、初心者マークとか着けとかなきゃかもしんない」
「えへっ。何それ、おもしろ」

自分が童貞を捨てたという実感はあんまりなかった。
ただ、目の前の男の子が僕の童貞をもらってくれたのだと思うと、射精したあとの冷静な頭で考えても嬉しかった。

「ねー、一緒にお風呂入ろ。俺、汗かいちゃったぁ」
「う、うん、そうだね」
「体、洗いっこしよーね」

 純平の言う通り、浴室で体を洗い合った。純平の手つきは少しいやらしかったが、さすがにもう勃起はしなかった。それでも、会ったときよりもずっと、純平のことが可愛くて仕方なかった。気持ちのままに思わずキスをしてしまったが、純平は嫌がらなかった。それどころか、嬉しそうにしながら僕に抱き着いてくれた。

「疲れちゃった。もう寝よ」

 浴室を出ると、開口一番に純平は言った。

「え、で、出なくて、いいの?」

 ラブホテルには、宿泊と休憩があることくらいは知っていた。僕は、純平は当然休憩を選んだものだと思っていた。その場限りのセックスなら、きっとそうするだろうと考えたのだ。

「宿泊にしてるから平気だよ」
「宿泊にしたの?」
「だってえ、エッチしたら疲れちゃうでしょ? そしたら寝たくなっちゃうじゃん」

 欲望に忠実な男の子だな、と思った。それも純平の魅力なのかもしれない。

「ねえ、また会ってエッチしようね」

 ベッドに潜り込みながら、嬉しそうに純平が言った。修学旅行ではしゃぐ子供のようだった。

「そ、それって、これからもってこと?」
「イヤ?」
「そ、そんな、いや、むしろ、嬉しいよ。けど、どうして?」
「渚さんのこと気に入ったからに決まってんじゃん」

 当然のことのように純平は言った。この美青年が、僕みたいな冴えない男をどうして気に入ったのか、という疑問は解決しなかった。

「またいっぱい気持ちいいのしようね。ピース」
「ぴ、ぴーす……」

 美青年の隣で眠れるか、と思ったが、さすがに疲れていたようで僕は熟睡してしまった。明日の朝、目が覚めてすぐに純平の顔が見られるのかもしれないと思うと、布団の中の心が躍った。純平が僕を気に入ってくれたのと同じくらい、いや、それ以上に、僕は純平の虜になってしまっていた。




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