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それはすんなりと終わってしまった。

いつのまにか拡張された穴へ流真の大きなペニスは入り込み、ガツンガツンと大きく腰を当てられる。腰の骨がぶつかるような痛みと共に何度か腰を振られているとどこを突き当てたのか体が急に震え始め、目の前が真っ白になり始めた。
あとから流真に言われたがそれは前立腺というやつで男でも尻で気持ちよくなれる場所なのだという。

流真はうわ言のように「気持ちいい…気持ちいい…」と声をあげ、下に組み敷かれた達明へしがみつく。
達明はもう流真の突き上げに流されることしかできず、熱くドロドロした流真の種をお腹の中で受け止めるまで声をあげて体を揺らし続けた。





ふっと目が覚めた。
時計を見れば短針は2を指していた。夜中の2時だ。
体を動かそうとするが重くて腕が動かせない。
仕方なく顔を振り回すと、目を閉じた綺麗に伸びた長いまつげに筋の通って余計の肉がない端正な顔が間近にあった。

驚きでぎゃっと声をあげてしまう。閉じていた目がゆっくりと開いてしまった。
少しおぼろげな瞳がゆらゆらと揺れて達明へ近づき、唇へキスを落とした。
流真はまだ冴えていない頭で達明に「どうしたの?」と甘く問うた。
こちらがどうしたんだと言いたい。
寝起きの瞼で流真を睨みながら小声で達明は怒る。
「なんてことしてくれたんだ!俺はおかげでホモでもないのに処女喪失だ!」
「童貞はもう捨ててるんでしょ?ならどちらも卒業できていいじゃない」
「寝起きなのにそんなことよくペラペラ言えるな」
「そんなことよりもっかいしよ?達明きもちいい」
そう言ってごそごそと達明の胸元をあさりはじめた。家に来る前と急に態度が激変して甘えてくる流真に達明は慌てて声を上げる。
「俺はお前の彼女じゃねえ!はなせ!触るな!」
「セフレならいいでしょ」
「は?誰がいつそんなこと言った!」
ガサゴソと胸の前で動かしていた手を流真は止め、ジトリと達明を睨んだ。
達明は美形の鋭い睨みに少し怯えてしまう。
「気持ち良かったならいいじゃん。俺、エッチできないと死んじゃう体質なの」
「そ、そんな体質ないだろ」
「達明は辛いもの食べちゃダメって言われたらどうする?」
「しぬ」
「ほら〜。俺もそういうやつなの。エッチしないと生きてけなーい」
薄い達明の胸へ顔を埋めてそういう。ぐりぐりと女の子のような柔らかみもない胸で頭を擦り付けてくる。達明は困ったなぁと思った。
「でもセックスしたいからって強姦はだめだろ」
達明はまだ少し反論する心の余地がありそういう。
「だめ?強姦?でも達明は気持ち良かったでしょ?」
「気持ちいいとか気持ちいくないとかそういうことじゃない」
「セックスすることがダメってこと?」
「うーん、好きな人としかしないとだめだろ。むりやりはダメだ」
その言葉を聞いても流真は食い下がらない。
「じゃあ好きになればいい?」
「好き?」
「達明とだけしかしたくないって思えば俺とセックスしてくれる?」
俺はそれを是とは言えないだろう。俺の気持ちが何も伴ってない。
「もし俺、達明がセックスしてくれるなら毎日辛いもの食べに行く。達明は辛いものが食べれないと死んじゃうんでしょ?俺はセックスしないと死んじゃいそうと思うから気持ちわかる」
ここでとんでもない提示が来た。
彼はセックスのためなら、別に辛いものにこだわりや好きがあるわけでもないのに食べてやると言った。
嘘だろと彼の顔を見たが、彼の目は真剣を物語っていて冗談と言ってすませることはできない雰囲気であった。

「俺がそんなことになびくと思う?」
「うん。達明ってひどい快楽に弱い体質だと思う。あんなに辛い料理を食べて口を麻痺させるのが好きなのはとんでもないドMだ」
少し自分で不安にあった性癖を言い当てられて心臓が大きく跳ねた。流真はそのまま言葉を繋ぎ止める。
「達明の辛いもの好きにも性癖にも俺は応えてあげられる。達明も俺のセックスへ理解ができると思うよ」
その証拠に達明は俺を今拒まない。


達明は流真という男が天使にも悪魔にも見えた。自分の心にうち隠れた気持ちを全て見透かし丸裸にして行き、それを大きく受け入れようとしている。
たかが辛いもの中毒、セックス中毒ということかもしれないが、それを受け入れるには相当の理解と適応性が必要であった。

流真は俺の辛いもの中毒に適応することができ、俺は流真のセックス中毒を受け入れることができると判断した。
お互いの趣向を受け止められる存在はなかなかいない。
そういう意味で彼は天使であり、俺をこのまま底が見えない地獄へ突き落とす悪魔でもあった。



要は依存という言葉に収まるのかもしれない。

流真はそっと顎や唇を親指で撫でて顔を近づけた。達明は拒むことも忘れ、唇、そして舌を受けいれた。じわりじわりと熱が広がる。ほんのりと彼の先端が立ち上がり始め、自分の体もぞくりと脈を打った。

これが答えだった。
拒絶感がない舌の動きに触れられる太もも。女のように柔らかくもない胸板と少し厚い指皮。それに反応して、振り回される自分がいて、なぜか数時間しか話していない男を受け入れてしまっている。
流真の説き伏せた言葉はむちゃくちゃなのに流されてしまっている自分はなんなのだろう。
じっとりと流真が達明の耳たぶをなめあげ、甘い息を吹きかけた。その生暖かさも快感になってしまう。


「俺が達明の唯一の理解者だよ」


俺はそのまま、また流真を受け入れて奥深くへと堕としてしまった。





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