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男の名は流真(りゅうま)というらしい。
なんかチャラそうな茶髪の見た目がホストぽくて違和感のない名前だと思った。

ノコノコとついてきた流真を俺の家に押し入れたくなくてカフェやファミレスを探すも、運悪く23時を越えたこの住宅街では閉まってしまった。さらに歩き回ってしまったせいで男の最悪な一言「あ、終電無くなった」をいただく羽目になり、ネカフェでも泊まりやがれ!と言いたいところだったが俺の家は男2人寝るスペースはあったため仕方なしに泊めることになった。


辛いものが食べられることで気は許したが、俺の体はまだ気を許していない。

アパートの部屋の鍵を開け中へどうぞと流真を招き入れる。
流真はお邪魔しますと丁寧に挨拶すると靴を脱いでワンルームの俺の部屋へ入っていった。

ベッドと小さなテレビにノートパソコン。大学生である俺は辛いもの以外に趣味はなく彼女もかなりご無沙汰なので学業以外に必要なものは全くナシだ。冷蔵庫やキッチンに行けば沢山の辛さを調整する調味料が並べられているぐらいが人と違うところだろう。

流真はペタリとカーペットの上に座り、俺はとりあえずテレビをつけて、キッチンへお茶を取りに向かった。

お茶をマグカップに入れて小さい簡易テーブルに置く。
流真はぼうっとテレビを見ていたが、俺がテーブルを挟んで向かい側に座ると狭いでしょと自分の横へ引っ張った。
男2人で横に並んで点いているテレビを眺める。ほぼ初対面と変わらない状態の相手となぜ家にいるのか。辛いもの好きの俺の家に酒なんてなく、ただお茶の入ったコップを啜ってはテレビからガヤガヤと漏れる声を聞いていた。


間も無く24時を越えようとしていた。明日はバイトもなく学校も全休だが、バイト終わりかつ激辛ラーメンで汗をかいて体も相当バテている。風呂…せめてシャワーだけでも浴びたい。

流真にシャワーを浴びるかと片膝を立てながら尋ねた。

テレビの方を向いていた綺麗なアーモンド型の瞳がこちらをむく。自分がその瞳の中に吸い込まれているような錯覚を起こすほど見つめられる。
返事のない流真に戸惑った表情の自分が流真の瞳孔に映った。

流真がそっと手首に手を回し、ススと自分の手を滑らしてきた。
急な流真の行動に予想がつかなくて、立ち上がろうとしていた膝がまた地面についてしまう。勢いでそのまま思わず下を向いてしまった頭が流真のもう片方の手で掬い上げられる。
器用に顎を掴まれ、グイッと顔を上へ持ち上げられた。大きくかぶさったように流真の顔が自分の顔を上から覗いていた。
流真の口は何も語らない。瞳だけがそのまま達明を映して、美しい顔が近づいてくるのを感じた。

唇に濡れたような柔らかい感覚。
一度ではなくそのまま、くち、くちと上唇を啄ばまれた。流石にこれはキスされていると勘付いた達明は体を押し退けようと上から被さる流真の胸を押した。
しかし、意外にも筋肉質な流真の胸は押し返せず、むしろ口の刺激が気持ちよくて意識が流され始めた。
激辛ラーメンを食べた後のじりじりと麻痺を残した舌を絡め取られる。初めてのその感覚に達明は激辛料理を食べる時よりも快感を感じた。
何度も何度も舌を絡められてジンジンとした感覚と蕩けるような悦楽。キスだけで遠くへ意識が飛びそうになってしまった達明は胸を押していた手をいつのまにか流真の腕へ縋りつけていた。

流真がゆっくり口を離す。辛いラーメンを食べても汗ひとつ見せなかった美しい顔がじっとりと汗を額に浮かべ悦で瞳をうっとりと濡らす。
流真はまた達明の顔に覆いかぶさるとグチョグチョになるまでキスをし続けた。


気づけば流真に引きずられるようにベッドの上で寝転がされて胸を吸われていた。
性に敏感な男の体は達明のものを膨らませて気持ちいいと訴えている。
達明は巧みな流真のテクニックに完全に押し流されていた。気持ちが良すぎる。ここ何年かはずっと1人でシてしまうことばっかりだったため、久々の他人に触れられる気持ち良さに頭の中は快感でいっぱいだ。それが男だったとしても達明の完全に流されてしまった頭では拒絶感はなかった。

流真がぐちぐちと達明のものを直接触れて擦り上げる。達明はただ流されるまま快楽に身を委ねる。
だから気づかなかった。流真は狙っていたように後ろの穴へ指を突き立てた。

ビリリとした痛みに達明は現実へ一気に引き戻される。

「いたぁ!なに?!なにしてんの?!」
達明は慌てるが、流真はぼうっと瞳を揺らしながら淡々と答える。
「後ろ、解してるの」
「ヒッ」
空気を切るような息がひきついた音が出た。そういえば男はそういう男だった。
深い気持ち良さのあまり流されていたが、男同士でヤリたいと所望していた。しかも、あちらが「突っ込みたい」側だったとは。

俺は冗談じゃないと体を起こそうとする。
流真は目をすうっと細めていち早く俺のお腹へまたがり体重をかけた。お腹にきた重力に俺は起き上がれなくなる。
「俺、もう我慢できないの。達明が辛いもの我慢できないみたいにセックスを。達明気持ちよくさせてあげるからしよ?」
「イヤイヤ無理無理!やったことないし」
「慣れちゃえばだいじょうぶ」
お腹にまたがったまま流真はそのまま達明の穴へ指をまた突き入れる。
達明はその挿入感に下半身を強張らせた。
「む、無理だって、本当に本当に」
「無理じゃない、達明きっとドMだから大丈夫」
何が大丈夫なのか、どこからドMという発想が来たのか。ツッコミどころがありすぎてパニックだ。
流真はそのまま指を取り出すことはせず器用に指を突き入れながら、体を屈めて俺の口もとへキスを振りまく。たまに達明の我慢汁を手へなすりつけるよう擦り上げてはその指を中へと押し進める。流真の熱い大きないちもつがお腹に触れてたまに擦り合わせるように流真の腰が前後へ動く。
俺は情報量の多さにパニックを起こしボロボロと涙をこぼした。

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