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脚がガッツリ掴まれて腰が震える。
脚を引き上げた男はそのまま覆いかぶさるようにして、腰に手を這わす。

手が腹横に添えられ、指を立てられる。


「こちょこちょこちょ……」


デカい図体からはあまりにも小さな囁き声だった。
男の指がいろんな方向に動いて肌をくすぐってくる。
なんとも言えない感覚。



それを見ていた三笠先輩が、男の背中越しから肩を威張って大きな声を上げた。

「アハハッ!辛いでしょ!ええ!とってもむず痒くてたまんないでしょうね!もがきたくとも縛られて動けないんだからね!アハハッ!!さあ、それをやめてほしかったらとっとと、この書類にサインしなさい!」
「………」
「…………………?あれ?」
「………。……あの、俺こういうの大丈夫なんですよね」
「…………」
「…………」

相馬と三笠が見つめること3秒。

俺が反応するよりも三笠先輩が顔を赤くする方が早かった。

「は…はぁ!?それは、それはずるすぎるでしょ!!なんで感じないのよ!?なんでよ!」
「なんでって言われても…」

昔から鈍感な俺はくすぐり系はどこも効かない体質だ。理由を聞かれても体質だから仕方ない。

その一方で。
脅しはこれが定番だって聞いたのに!、なんて悔しがりながら、キーーキーッと荒立つ先輩。お湯でも沸きそうなほど憤怒している。


「睦め…!僕に嘘つきやがったな!!あのぶりっ子野郎ッ…!……ってちょっと!何ボケーっとしてんの!さっさとそいつ逃げないように柱に縛り付けときなさいよ!」
「「…あ、う、ウスッ!!」」

後ろと前で狼狽えていた男たちだが、仕事は手早く、三笠先輩に言われた通り校舎の柱に俺を素早く縛り付けてしまう。先ほどより状況がより悪化してしまった。


「まあ、いいよ。アンタは柱にくくりつけられてうごけないからね!アンタが泣きながら『隊に入れて下さい、三笠様』って拝むまでその壁と仲良くしときな!」

三笠先輩はそう言って、まるで悪役のようにニヒルな笑みを浮かべ声高らかに笑う。
テンションの素早い取り戻し具合は凌駕に負けないだろう…。

腕を捻ってみるが、先ほどよりキツく巻かれた縄で体が動かせない。三笠先輩の言う通り、自力での脱出は不可能。誰かに縄を外してもらう他、手段はないだろう。



「……」
やはり入隊すると言った方がいいのだろうか。いや、でも、こんなことで凌駕のことに時間を取られるのは絶対に嫌だ。ただでさえ兄のせいで穏便な生活を送れていないというのに…。


「…………」

俺はじっと耐えることに決めた。三笠先輩が早くこの戯れに飽きてしまうように望んで。

そして、それが長丁場になると知らずに…。







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